2001 Fiscal Year Annual Research Report
肝癌細胞増殖抑制へのWeel分子の役割の解明と肝癌の遺伝子治療への応用
Project/Area Number |
13770289
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
橋本 修 久留米大学, 医学部, 助手 (50289427)
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Keywords | Weel / 遺伝子治療 / Hep3B |
Research Abstract |
通常、増殖抑制作用を持つTGFβ1が豊富な硬変肝で発症し易い肝細胞癌は、TGFβ1の作用に対し回避能を有しているものと考えられる。TGFβ1のG1期に対するRbを介した細胞増殖抑制機序はよく知られているが、TGFβ1のRbを介さない細胞増殖抑制機序はほとんど知られていない。そこで今回私どもはRbの有無によるTGFβ1の肝癌細胞に対する制御機構について報告する。 【方法】Rb蛋白を持つHuh7と同蛋白を持たないHep3BにTGFβ1を添加後、12,24,36,48hの細胞周期の変化、及び、細胞周期をflow cytometerにて観察した。細胞周期に関与している各種Cyclin inhibitor(pl5,pl6,P21,P27),各種Cyclin(CyclinA, B, E),Rb, CDK2,Cdc2,さらにWeel, Cdc25Cの蛋白発現やCdc2-Ty15のリン酸化をWestern blot法にて検討した。また、CDK2,Cdc2のactivityをkinase assayで検討した。Cyclin Bの免疫局在については、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。RT-PCR法を用いWeelのcDNAを作成、これをサブクローニングしたRetrovirusを作成した。 【成績】Huh7とHep3Bの両細胞はTGFβ1処理24時間後にそれぞれG 1 arrest, G2/M arrestが見られた。この時点では両細胞のCdk2,cdc2の発現量に変化はみられなかったが、Cdc2-Ty15のリン酸化は保持され、その活性はほぼ完全に消失していた。Huh7のRb蛋白は早期から低リン酸化されていた。一方、TGFβ1処理24時間後のHep3BのCycin B発現量は亢進し、しかも核内に局在していた。またHep3BのWeel蛋白発現量は12時間をピークに増強していた。 これらの結果をふまえ、WcelのRetrovirusをTGFβ抵抗性のある肝癌細胞株に感染させ、その効果が観察されている。
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