2001 Fiscal Year Annual Research Report
耐性菌感染症に対するアンチセンスヌクレオチドを用いた遺伝子治療
Project/Area Number |
13770300
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
柳原 克紀 長崎大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (40315239)
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Keywords | コアグラーゼ / VISA / オキサゾリジノン / バイオフィルム / マクロライド / エラスターゼ |
Research Abstract |
今年度は病原微生物の病原因子を解明するため、動物実験モデルを用いて感染実験を行った。 黄色ブドウ球菌性血行性肺感染モデル(Infect. Immun. 65(2):466-471 1997)による解析では、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(Vancomycin insensitive Staphylococcus aureus : VISA)の病原性としてコアダラーゼが大きな役割を果たすことが明らかになった。他の黄色ブドウ球菌に比べ、VISAのコアグラーゼ活性は極めて低く、免疫が正常な状態では病原性を発揮しない。しかしながら、免疫抑制状態では致死的な病原性を発揮する。この事実は、VISAが日和見感染症の病原微生物として重要であるごとを示唆する。 また、このVISA感染モデルには、新規オキサゾリジノン系抗菌薬であるリネゾリドが有効であった。 緑膿菌性慢性気道感染症では、ムコイドによって形成されるバイオフィルムや菌体から産生されるエラスターゼが、病原性として重要なことが知られている。 緑膿菌慢性気道感染症モデル(Am. J. Respir. Crit. Care Med. 155:337-342 1997.)を用いての解析では、14員環マクロライドがバイオフィルムの破壊に有効であることならびに16員環マクロライドの効果が乏しいことを明らかにした。この成績は、in vitroの成績と類似の傾向であり、in vivoの実験系で実証できたことは有意義である。このマクロライド系抗菌薬間での差異は、バイオフィルム制御を検討する上で重要な指標となり得る。慢性気道感染症における緑膿菌エラスターゼの役割を解析するために、エラスターゼが欠損した緑膿菌の変異株を用いた。この変異株を感染させた肺組織は、淡症細胞浸潤が弱い傾向にあった。 今後、緑膿菌エラスターゼの役割については、より詳細な検討を行う。
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