2001 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症における選択的運動ニューロン死の機序の分子生物学的解明
Project/Area Number |
13770334
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
漆谷 真 理化学研究所, 運動系神経変性研究チーム, 研究員 (60332326)
|
Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / スーパーオキシドジスムターゼ / ユビキチン化 / プロテアソーム / 酸化ストレス / 運動ニューロン / 初代培養 / 結合タンパク |
Research Abstract |
(1)家族性筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因遺伝子の1つである変異スーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)による変異SOD1タンパクとの結合タンパクの探索することを目的として、同変異遺伝子トランスジェニックマウスの病巣部位(脊髄)と健常ヒト脊髄組織由来のcDNAライブラリーを構築しYeast two-hybridスクリーニングを行なった。その結果、トランスジェニックマウス脊髄由来のライブラリーより、神経分泌物質の一部に変異型SOD1に結合するが野生型とは結合しない物質を同定し、そのファミリーも同様の性質を示した。不死化細胞における免疫組織化学的検討によって、この物質は変異SOD1の一部をトランスゴルジネットワークに移動させる性質があることを突き止めた。変異SOD1による細胞死への影響については現在検討中である。ヒト脊髄由来のライブラリーからは数種類の未知物質、シャペロン物質を同定したが、動物細胞における免疫沈降実験では共沈されず、今後組織学的アプローチ、初代培養を用いたアプローチを計画中である。 (2)変異SOD1のタンパク化学的異常を検討する過程で、変異SOD1タンパクが細胞内一過性発現において、発現早期からユビキチン化され、さらに野生型に比べ溶解性が低下し、酸化ストレスによって多量体形成をすることを突き止めた。一過性発現マウス神経芽細胞腫のヒトSOD1恒常発現株を構築し、プロテアソームタンパク分解能を測定したところ、変異型が野生型に比べて低下していることを突き止め、胎仔マウス初代培養運動ニューロンがプロテアソーム抑制に選択的に脆弱であることを発見した 今後、変異SOD1タンパク特異的分解機構について、明らかにすべく検討中である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 漆谷 真, 高橋良輔: "筋萎縮性側索硬化症〜病態解明と治療の現状"Moleculav Medicine. 38巻・11号. 1262-1272 (2001)
-
[Publications] Urushitani M, Shimohama S: "The role of nitric oxide in amyotrophic lateral sclerosis"Amyot Lat Scler. 2. 71-82 (2001)
-
[Publications] Urushitani M, Nakamizo T, et al.: "NMDA receptor-mediated mitochondrial Ca2+ overload in acute excitotoxic motor neuron death ; a distinct mechanism from chronic neurotoxicity after Ca2+ influx"J Neurosci Res. 63. 377-387 (2001)