2001 Fiscal Year Annual Research Report
酸化LDL受容体LOX-1の機能解析と動脈硬化遺伝子治療への応用
Project/Area Number |
13770343
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荻田 光彦 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30282552)
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Keywords | 酸化LDL / 血管内皮細胞 / アデノウイルスベクター / LOX-1 / TNF-α / PPAR |
Research Abstract |
動脈硬化病変形成において、血清中の脂質およびその酸化変性を受けた酸化LDLが重要な役割を担っていることがわかってきた。近年、酸化LDL受容体のひとつであるlectin-like oxidized LDL receptor(LOX-1)が血管内皮細泡から分離された。この受容体の血管動脈硬化における役割を検討する目的で実験を進めている。ひとつは、実験動物などの血管にこの遺伝子を過剰に発現させてその役割を解明する目的で、このLOX-1遺伝子を発現させるアデノウイルスベクターの作成を行っている。こちらは、現在、まだ完成していないが、できれば、まず、有効に発現させることができるかどうかを確認して、実験動物の血管中に発現させてその働きをみる。これとは別に、LOX-1の機能の一部を解析する目的で、PPARアルファやガンマといった核内遺伝子を活性化して、LOX-1の発現が、どうなるかを検討した。このPPARであるが、近年、脂質代謝や抗炎症作用などから注目されている。特に、動脈硬化はその発生過程おいて、炎症性のサイトカインの役割がいわれており、関連が興味深いからである。我々の検討では、脂質降下剤などが含まれるPPARアルファにては、LOX-1の血管内皮細胞における発現は変わらないものの、インスリン抵抗性を改善し、血糖降下作用をもつPPARガンマの活性化剤の投与にてTNFアルファなどによるLOX-1の誘導が抑制されるという結果が得られた。この結果は、今後のさらなる検討が必要であるが、炎症性サイトカインによるLOX-1の誘導が、PPARガンマ投与により、抑制される可能性があり、動脈硬化に対し、抑制的に作用する可能性が考えられた。今後さらに検討を重ねる予定である。
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