2002 Fiscal Year Annual Research Report
心筋アポトーシス細胞におけるチトクロームC放出機序の検討及び治療への応用
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13770355
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小原 幸 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (80275198)
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Keywords | Apoptosis / 心筋細胞 / チトクロームC / ミトコンドリア / ATP感受性K channel開口薬 |
Research Abstract |
ラット心臓単離ミトコンドリアを用い、acidosis刺激・酸化刺激単独、及びCaCl2(50〜300μmol/L)の共投与によるCa^<2+>過負荷を行い、light scatteringによりミトコンドリアpermeability transition pore (PTP)開口の測定を行い、Western blottingによりミトコンドリアからcytochrome c放出を検討した。次に、これらに対するATP感受性K channel開口薬(diazoxide、pinacidil)の効果を検討した。 <結果>Ca^<2+>は濃度依存性にPTPを開口し、ミトコンドリアからのcytochrome c放出を導いた。acidosis刺激(pH6.6)単独では、PTP開口は見られず、pH6.6ではCa^<2+>依存性のPTP開口は有意に減弱した。逆に、酸化ストレス(tBOOH25-200μM)は濃度依存性にPTPを開口し、さらにCa^<2+>はその作用を増強した。 ATP感受性K channel開口薬は、濃度依存的にCa^<2+>過負荷によるPTP開口を抑制し、またミトコンドリアからのcytochrome c放出を抑制した。pH6.6条件下においても、Ca^<2+>依存性PTP開口に対するK channel開口薬の効果は同様に認められ、酸化ストレスにCa^<2+>過負荷を加えた条件下においても、K channel開口薬のPTP開口抑制作用は有意であった。 <結語>本研究により、虚血再灌流障害時の有害因子であるCa^<2+>過負荷、酸化ストレス、acidosis刺激のうち、前2者はPTP開口増強に、後者はPTP開口抑制に働くことが示された。またK channel開口薬は、細胞内pHがacidosisとなる虚血時、及びradical産生が著しい再灌流時ともに、Ca過負荷によるミトコンドリアPTP開口を抑制し得ることが示された。
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