2002 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸側鎖が免疫応答に及ぼす影響―実験的自己免疫性心筋炎モデルを用いた検討―
Project/Area Number |
13770360
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
河野 健 北里大学, 医学部, 助手 (10327330)
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Keywords | 心筋炎 / エピトープ / 心筋ミオシン重鎖 |
Research Abstract |
昨年度の検討により実験的自己免疫性心筋炎を惹起する自己抗原は心筋ミオシン重鎖β鎖1124-1153の30アミノ酸である事が明らかになった。さらにこのエピトープを含むペプチドは、大腸菌産生によるペプチドでは心筋炎が惹起されるが、同じエピトープ部位を含む合成ペプチドでは心筋炎は惹起されなかった。ルイスラットに心筋ミオシン重鎖を感作することによって心筋炎が惹起される同モデルは、細胞性免疫である事が既知である。免疫応答における三分子複合体モデルを考慮するとエピトープが局在しているはずの同じアミノ酸一時配列で、心筋炎が発症する群と心筋炎が惹起されない群が存在する事実はアミノ酸一次構造以外の要因が関与している事を強く示している。また、大腸菌産生ペプチドと合成ペプチドによる心筋炎惹起能に相違があることより、同じアミノ酸配列であっても化学的修飾の差が心筋炎惹起に深くかかわっている事が推測された。そこで同アミノ酸配列を含むペプチドを大腸菌にて産生させリジルエンドペプチダーゼ分解を行ないHPLCにてペプチドを回収した。1111から1132(グルタミン酸からリジン)、1140から1166(ロイシンからリジン)までの二つのペプチドを回収した。また、これらのペプチドと同じアミノ酸配列を持つ合成ペプチドを化学的に産生し、それぞれ、時間飛行型質量分析(TOF-MASS)にて質量を計測した。結果:前半部のペプチドにおいては両者間に質量の差は認められなかったが、後半1140から1166のアミノ酸については質量差が17あった。従って、この側鎖の差が免疫応答の相違に重要役割を果たしていると考えられた。今後この分子量の差がどの分子によってもたらされているのか解明が必要である。
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