2001 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病心筋におけるPreconditioningの虚血抵抗性相乗効果に関する研究
Project/Area Number |
13770369
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
永田 晶子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (70307453)
|
Keywords | 糖尿病 / 虚血 / プロトン / Ischemic preconditioning |
Research Abstract |
目的 糖尿病ラット摘出灌流心を用い、preconditioningによる虚血抵抗性増強の機序の解明と細胞内Ca動態、VPATPaseの関与を検討する。 方法:SD系ラットを使用。Streptozotocin(50mg/kg)を尾静脈より静注し糖尿病を作成。4〜6週経過後、心臓を摘出、Langendorff法を用い灌流。VPATPase阻害剤はbafilomycinを使用。Preconditioningは3分間の短時間虚血を3回反復することにより作成。 細胞内pH濃度測定: pHの蛍光指示薬BCECF/AMを経冠動脈より負荷。500と450nmの励起光を照射し、蛍光強度比を求め測定。 結果 Ischemic preconditioningにより虚血時の細胞内pHの低下は,Ischemic preconditioning非作成群(6.6±0.05vs6.8±0.03,p<0.05)に比較し有意に抑制されたが,糖尿病心臓において,虚血時の細胞内pHの低下抑制に対して相乗効果は認められなかった.しかし,基質を除いた条件下では,細胞内pHの低下は基質投与群に比較し軽減された(6.8±0.04 vs7.0±0.02,p<0.05).Bafilomycin 50 nM投与にて再灌流後の細胞内pHの回復は非投与群に比較し遷延された.しかし,糖尿病群,非糖尿病群における細胞内pH動態において有意な差は認めなかった. 考察 糖尿病心臓における虚血抵抗性はNa+/H+交換系とNa+-Ca2+交換系を介したCaの過負荷を軽減することを明らかにしてきた。細胞内pHの調節機構としてのプロトンポンプは糖尿病群,非糖尿病群において明らかな差は認めなかった.しかし、プロトンの他の代償機構がより大きな役割を演じている可能性が示唆された。また糖尿病における細胞内pHの機序には糖代謝からのプロトン産生機構の影響が大きいことが示唆された.
|