2002 Fiscal Year Annual Research Report
圧負荷心における変異型MCP-1遺伝子導入による心筋線維化・拡張障害の防止
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13770373
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
桑原 史隆 久留米大学, 医学部, 助手 (90279167)
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Keywords | 圧負荷肥大心 / 心リモデリング / 左室拡張心不全 / 心筋線維化 / 炎症細胞浸潤 / MCP-1 / TGF-β / 7ND MCP-1変異型遺伝子 |
Research Abstract |
1)ドミナントネガティブMCP-1 7ND変異遺伝子の作成と投与:前年度の研究にて腹部大動脈縮窄による圧負荷肥大心には心筋線維化リモデリングに先行した炎症・細胞増殖反応が惹起し、慢性期には左室拡張障害を来した。また、MCP-1/TGF-βの介在を確認した。そこでドミナントネガティブ活性を持ち得るMCP-1 7ND変異遺伝子による心筋線維化リモデリングの抑制効果を検討した。まず、ドミナントネガティブMCP-1 7ND変異遺伝子はhuman 7ND cDNAをPCRにて増幅後、wild type MCP-1 cDNAをtemplateとしvector plasmidを用いて作成した。MCP-1 7ND変異遺伝子は圧負荷ラットモデルの1日目・14日目にnaked plasmidの状態で下肢骨格筋に投与した。対照モデルはPBSを投与した。2)MCP-1 7ND変異遺伝子投与における心リモデリングの評価:7ND変異遺伝子投与後、第28日目の評価にて心筋線維化率は約60%の減少したが心筋細胞肥大に有意差はなかった。また、左室収縮能には対照群と変化はなかったが、圧負荷群で認められた左室拡張能(E/A比低下・LVEDP上昇)はMCP-1 7ND変異遺伝子投与において著しく改善した。3)炎症細胞浸潤・細胞増殖の検討:MCP-1 7ND変異遺伝子投与により圧負荷早期の心筋内に浸潤するMφは著明に抑制をうけた。更に、間質の線維芽細胞の増殖が抑制された。4)TGF-βの関与の検討:MCP-1 7ND変異遺伝子投与群の圧負荷心においてTGF-β mRNAおよび蛋白発現の抑制効果を認め、心筋線維性リモデリングでの関与が示唆された。現在、慢性期圧負荷心モデル(Dahl rat)にての検討が進行中である。これにより、慢性圧負荷心疾患にての心筋線維性リモデリングおよび拡張不全の遺伝子治療可能性が示唆される。
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Research Products
(1 results)