2002 Fiscal Year Annual Research Report
パッチクランプ法によるヒト大脳皮質異形成組織のてんかん発症の機序の解明
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13770382
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宗形 光敏 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (30312573)
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Keywords | 電気生理 / パッチクランプ法 / 皮質形成異常 |
Research Abstract |
これまで我々はラット脳より神経細胞を取り出し、ニスタチン穿孔パッチクランプ法を適用しイオン電流を計測し、成果を得てきた。本研究では実際のヒト切除標本にて安定した記録をとるため、種々の改良を加えているが、これまでのところ特異的なチャネルの異常を検出するまでには至っていない。現在は、新たな細胞単離法である振動単離法を導入し検討を進めている。一方でラットでの検討を平行して進めているのでその結果を報告する。β-phenylethylamine(PEA)は内因性のアミンの一種で様々な神経疾患でその生合成が変動することが知られている。ラット脳神経細胞標本においてニスタチン穿孔パッチクランプ法によりこのPEAの作用を検討したところPEAは2種のK+電流を抑制し、細胞の興奮性を高めることを見いだした。これは英文原著として投稿中である。さらにPEAはNMDA受容体応答を抑制することを見いだし、現在その作用機序を検討している。 最近臨床応用が可能となった非侵襲的手法であるプロトン核磁気共鳴スペクトロスコピーを用いて、皮質形成異常組繊の代謝を実際の患者で検討を行った。その結果この異常組織では正常組織に比ベN-acetylaspartate(NAA)の生合成が低下し逆にコリン含有物質の生合成が高まっていることが判明した。しかし形成異常のなかでもband heterotopiaではNAAの合成は正常でありこの疾患の組織の特異性が指摘される。この成果はEpilepsia誌(vol.44,366-371,2003)に掲載された。
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