2001 Fiscal Year Annual Research Report
グルタル酸尿症2型の遺伝子型と臨床型の関連に関する研究
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13770398
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
田草 雄一 島根医科大学, 医学部, 助手 (10263534)
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Keywords | グルタル酸尿症2型 / 遺伝子型 / 臨床型 / ETFα欠損症 / リボフラビン反応性 / 発現実験 |
Research Abstract |
グルタル酸尿症2型の日本人症例はこれまでに少なくとも13例が知られている.日本人で遺伝子変異が明らかにされたのはこれまでETFβ欠損症の同胞例だけであり,ETFα欠損症の遺伝子変異に関して世界的にも報告は少ない. 本研究によって日本人のETFα欠損症の遺伝子変異を初めて同定した.対象とした患者は軽症型,リボフラビン反応型の男児例(症例1)と新生児期死亡した重症型の一例(症例2)である.まずタンパク解析を行った.パルスチェイス実験において症例1ではαの不安定性が観察され,症例2ではαもβも不安定で欠損タンパクが同定できなかった.次に遺伝子変異解析を行った.症例1ではG764TとG478dellの複合ヘテロ接合体であることが判明した.症例2ではG799Aとexon2skipping(147bp欠失)の複合ヘテロ接合体であった.続いて2つのミスセンス変異(症例1のG764Tと症例2のG799A)について発現実験を行った.症例2の細胞にETFαcDNAをトランスフェクトしてイムノブロット検索をしたところ,wild type cDNAではETFαバンドが回復したのに対して,2つの点変異のケースではETFαのバンドは回復しなかった.この結果よりこれら2つの点変異はETFα欠損症の病因であることが強く示唆された. 今回見出された4つの遺伝子変異は過去に報告のないものであった,2症例ともに,ナンセンス変異と点変異のヘテロ接合体であった.2つの点変異とも病因であることを証明したが,G799AはFAD結合部位に隣接した位置で生物種にホモロジーの高い部分での変異であり,症例2が臨床的に重症型になった理由であると思われる.一方症例1のG764Tは生物種で保存されていない部分であり,臨床的に軽症であったものと思われる. 今後,本症の遺伝子異常と臨床的重症度やリボフラビン反応性の有無などとの関係を明らかにするためにさらに情報を蓄積していきたい.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yuichi Takusa: "Identification and characterization of temperature-sensitive mild muttions in three Japanese patients with non-severe forms of very-long-chain acyl-CoA dehydrogenase deficiency"Human Molecular Genetics and Metabolism. 75(in press). (2002)
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[Publications] 田草雄一: "短鎖3-ヒドロキシアシル-CoA脱水素酵素欠損症"別冊日本臨床 領域別症候群シリーズNo.36 骨格筋症候群. 36. 74-76 (2001)
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[Publications] 田草雄一: "その他の脂質代謝異常によるミオパチー"別冊日本臨床 領域別症候群シリーズNo.36 骨格筋症候群. 36. 90-94 (2001)
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[Publications] 内山 温: "極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症"別冊日本臨床 領域別症候群シリーズNo.36 骨格筋症候群. 36. 65-67 (2001)