2001 Fiscal Year Annual Research Report
小児インフルエンザ脳症・脳炎発症のメカニズムの解明
Project/Area Number |
13770406
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
新庄 正宜 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20276314)
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Keywords | インフルエンザウイルス / 脳炎 / 脳症 / マウス / インフルエンザワクチン / 抗血清 / アマンタジン |
Research Abstract |
1. 2.インフルエンザ関連脳症:症例収集と原因検索 情報収集中であり、症例があれば検討してゆく方針である。 3.インフルエンザ脳炎発症マウスの検討 近年、インフルエンザウイルスによる神経合併症が問題視されている。本研究では、インフルエンザ脳炎の予防と治療をマウスを用いて検討した。 マウス脳馴化A型インフルエンザウイルスをマウスに経鼻感染させ、無治療、ワクチン予防、抗血清治療、およびアマンタジン治療の4群に分け、生存率、体重推移の測定、および脳の病理像の観察を行った。ワクチン予防群は不活化インフルエンザワクチンを感染3週前に経腹腔的に、抗血清治療群は抗インフルエンザウイルスマウス血清を感染0〜3日後のいずれかに経静脈的に、アマンタジン治療群は塩酸アマンタジンを感染0から4日間経口的に、投与された。 無治療群において、全例が8日以内に死亡し、病理学的にウイルス抗原が観察される著明な脳炎像を呈した。ワクチン予防群において、全例が生存し、体重減少や病理学的異常を認めなかった。早期抗血清治療群(感染日投与)において、全例が生存し、病理学的異常を認めなかったが、後期抗血清治療群(感染3日後投与)において、全例が死亡し、病理学的に脳炎が確認された。アマンタジン治療群において、全例が最終的に死亡したが、延命や体重減少抑止効果が認められた。 以上より、ワクチン予防と早期抗血清治療は脳炎の発症予防と治療に極めて有効であった。アマンタジン治療は延命効果をもたらすため、他治療との併用により、脳炎の発症を防止する可能性がある。(Journal of Medical Virology,accepted on October 25,2001) 4.学会発表・参加 日本臨床ウイルス学会(6月)、日本感染症学会東日本地方会支部総会(11月)に参加し、インフルエンザ(脳症)についての知見を得た。
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