2002 Fiscal Year Annual Research Report
Trc8遺伝子(基底細胞腫原因遺伝子Patchedの類縁体)の変異と細胞癌化機構
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13770457
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
武居 公子 琉球大学, 医学部, 助手 (90325861)
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Keywords | 皮膚基底細胞腫 / TRC8遺伝子 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
形態形成に関与する癌抑制遺伝子patchedは細胞膜受容体PTCをコードし,皮膚基底細胞癌(BCC)で変異が認められる。また,BCCではPTCの下流シグナル伝達分子の遺伝子変異も認められる。本研究で解析したTrc8遺伝子は,家族性腎細胞癌で不活化が報告されており,癌抑制遺伝子と考えられる。Trc8遺伝子はPTCに類似した膜蛋白質TRC8をコードすることから,Trc8遺伝子及びその下流シグナル伝達分子はBCCにも関与する可能性がある。そこで,TRC8の下流シグナル伝達経路を明らかにするため,TRC8と結合する分子をTwo-Hybrid法により検索し,MSP58,COP9シグナロソームのサブユニット4,及びFHAドメインを持つ新規分子のcDNA断片を得た。MSP58については,悪性腫瘍細胞で強く発現するP120蛋白質と結合すること,v-Jun癌遺伝子によって発現が誘導されること等が報告されている。また,COP9シグナロソームはJunの転写制御活性を修飾すると考えられている。しかし、FHAドメインを有する新規分子の機能は全く不明であったため,RACE法で全長蛋白質をコードするcDNAをクローニングし,この新規分子の機能を解析中である。一方最近,Trc8遺伝子とVHL遺伝子(von Hippel-Lindau病に関与する癌抑制遺子)の相互作用が報告された。即ち,ショウジョウバエにおいてこれらの遺伝子の変異が類似した形態形成異常の表現型を示し,試験管内および培養細胞内でこれらの遺伝子産物が結合(共沈)する。TRC8とVHLの結合はTCR8のRING-H2構造に依存するが,私共が得たVHL以外のTRC8結合分子との結合も同様であり,TCR8のRING-H2構造は細胞癌化に関わるシグナル伝達に重要な役割を果たすと考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 武居公子 他: "外陰部に生じた基底細胞癌の1例"西日本皮膚科. (in press). (2003)
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[Publications] 新垣肇 他: "PCR法により確定診断できた原発性皮膚クリプトコックス症の1例"日皮会誌. 113・1. 55-61 (2003)
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[Publications] 上里博 他: "マダニ刺症の1例"西日本皮膚科. 64・6. 726-731 (2002)