2001 Fiscal Year Annual Research Report
ラット静脈洞血栓症モデルにおける脳実質内拡散のテンソル解析
Project/Area Number |
13770491
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古賀 久雄 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80323583)
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Keywords | 静脈洞血栓症 / 脳実質内拡散 / MR拡散テンソル |
Research Abstract |
静脈洞血栓症sinus thrombosisは頭蓋内静脈の還流障害を生じ,脳浮腫や出血性梗塞などの原因となるが,その際の病態生理については動脈系閉塞の報告に比べてかなり少なく,その脳実質内拡散の研究も僅かである今年度の研究では,今回非侵襲的解析手段として用いるMR拡散テンソルの整合性を確認するべく,硫酸銅水溶液,アセトン,寒天,および蒸留水をそれぞれ円筒バイアルに充填したファントムを作成して現有の7.05Tesla動物実験用MR装置により画像データを取得した。得られた信号強度値から硫酸銅水溶液,アセトン,寒天および水の拡散係数を計算したところ,過去に報告されている値とほぼ一致を見た。以上を確認してから,麻酔導入した健常ラット(Wistar ratオス7〜9週齢)の脳を対象として,MPG非印加時およびMPGを6方向に印加した計7通りの拡散強調画像を撮像しデータを取得した。これら画像データから拡散テンソル解析を行うために,今回購入した画像処理,科学計算用プログラミング言語のIDL/VIPを用いて画像処理ワークステーション上で動作する画像解析プログラムを自作し,拡散異方性を排した拡散能の指標であるtrace画像と,拡散異方性の指標であるEA画像を作成し,得られた画像およびその値が過去の報告に概ね類似することを確認した。さらに,次年度に予定していたKurokawaらの方法(Neurol Med Chir 29, 175-80, 1989)に準じる静脈洞血栓症モデルの作成を併せて試みたが,今年度に取り組んだ限りでは安定して病変を出現させることには至らなかった。現時点では病変の再現性が不良な理由を推測することはできなかったが,次年度では再現性を得るべくモデルを改良し,今年度の基礎実験で確認された拡散テンソル解析を静脈洞血栓症モデルラットに対して適用する予定である。
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