2001 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍骨転移の疼痛治療を目的とする新規放射性レニウム標識薬剤の開発
Project/Area Number |
13770500
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
向 高弘 京都大学, 医学研究科, 助手 (30284706)
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Keywords | 腫瘍 / 骨転移 / 放射性薬剤 / レニウム / ビスホスフォネート / 疼痛治療 |
Research Abstract |
放射性レニウムとビスホスフォネートであるHEDPとの高分子多核錯体が骨痩痛治療薬剤として検討されているが、Re錯体の安定性が悪く、生体内でReO_4へと酸化されることによる骨髄、胃、甲状腺等の被曝が大きな問題となっている。本研究では、この問題を解消するために、分子内にビスホスフォネート構造と独立して安定なRe単核錯体(Re-MAMA)を導入した薬剤、Re-MAMA-BPを設計した。MAMA-BPのチオール基がトリチル(Tr)基で保護されたTr-MAMA-BPは、総収率2.7%で合成することができた。また^<186>Re-MAMA-BPは、Tr基を脱保護したMAMA-BPと^<186>Re-citrateとの配位子交換後、逆相HPLCによる精製により放射化学的収率34.6%、放射化学的純度95%以上で得られた。^<186>Re-MAMA-BP、^<186>Re-HEDPを、95%O_2/5%CO_2で飽和したリン酸緩衝液中でインキュベートし、インビトロにおける安定性を評価したところ、^<186>Re-HEDPでは経時的にReO_4への分解が認められ、24時間後において、未変化体の割合は30%以下であった。それに対して、^<186>Re-MAMA-BPでは、24時間後においても、80%以上が未変化体として存在した。また、ノーマルマウスでの体内動態を検討した結果、^<186>Re-MAMA-BPの骨への集積は、^<186>Re-HEDPに比べて有意に高い値を示し、また胃への放射能集積は低減された。以上の結果は、分子内にビスホスフォネート構造とキレート構造とを独立して有する標識薬剤の設計により、Re錯体の高い安定性と骨への集積性とが両立可能であることが示すものであり、放射性レニウム標識骨疼痛治療薬剤の開発に有用な指針を与えるものと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takahiro Mukai: "Synthesis and evaluation of bisphosphonate derivative labeled with rhenium-186 using monoaminemonoamidedithiols as a chelating group"Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals. 44・Suppl1. 617-618 (2001)
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[Publications] 佐治英郎: "疾患の核医学画像診断のための機能性金属放射薬剤の設計"Biomedical Research on Trace Elements. 12・2. 141-151 (2001)