2001 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞における18F標識フルオロデオキシグルコース(FDG)取り込みの解析(特に遅延型取り込みの動態について)
Project/Area Number |
13770501
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東 達也 京都大学, 医学研究科, 助手 (50324629)
|
Keywords | FDG-PET / retention index / グルコースリン酸化酵素タンパク / グルコース促進拡散膜タンパク / 膵臓癌 |
Research Abstract |
当院第一外科の臨床症例において、遅延性FDG取り込みとグルコース促進拡散膜タンパク質発現・グルコースリン酸化酵素の活性化等の関係を検討し、FDG-PETを用いたグルコースリン酸化酵素活性の予測法の考察を行った。初年度は悪性腫瘍として膵臓癌(腺癌)のみを用いた。術前検査目的にてFDG-PET検査依頼のあった膵臓癌症例に対し、FDG-PETを行い、早期及び遅延性FDG取り込みの計測を行い、これら症例のうち、術後腫瘍の組織標本の得られたものを対象症例とした。FDG取り込みの計測はFDG投与後1時間での取り込み(A)と2時間後取り込み値(B)の2点観測を行い、遅延性FDG取り込みとして体内のFDG集積の時間的上昇をretention index=((B-A)/Ax100)のように計算した。術後腫瘍組織は当院病理部に委託し、ホルマリン固定後、薄切され、無染染色のプレパラートとして準備し、これら無染染色プレパラートに対し通常染色により組織学的悪性度を検討し、また免疫組織染色キット・各種抗体を用いて免疫組織染色を行い、グルコースリン酸化酵素タンパク(HK)、グルコース促進拡散膜タンパク(GLUT)の発現等を検討した。これらの免疫組織染色での発現とA値及びretention indexの大小をコンピュータ上にて応用統計解析ソフトを用いて比較検討した結果では、 1/GLUT発現の程度はFDG投与後1時間での取り込み(A)に関係しており、こちらは従来の研究結果の通りであった。が、遅延性FDG取り込みretention indexとは関連はうすい事が判った。 2/HK発現の程度は遅延性FDG取り込みretention indexと有意な関連を示しており、retention indexの計測により腫瘍組織内のグルコースリン酸化酵素の活性化が予測できることが判った。が、FDG投与後1時間での取り込み(A)との関連はうすい事が判った。今後は 1/異なる病理組織学的特徴を持つ悪性腫瘍として食道癌(扁平上皮癌)を用いて検討すること、 2/遅延性FDG取り込みの指標retention indexと膵臓癌(腺癌)の予後の関連を検討することを予定している。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Higashi T, Saga T, Nakamoto Y, et al.: "Relationship between retention index in dual-phase ^<18>F-FDG PET, hexokinase-II and glucose transporter-1 expression in pancreatic cancers"Journal of Nuclear Medicine. 43. 173-180 (2002)
-
[Publications] 東 達也, 中本裕士, 石守崇好, 他: "肝臓・膵臓腫瘍におけるFDG-PETの臨床的有用性と医療経済効果。"インナービジョン. 11. 93-97 (2001)
-
[Publications] 東 達也, 佐賀恒夫, 小西淳二: "肝癌・膵癌-PETによる膵癌の診断"クリニカルPETハンドブック. 10. 177-184 (2001)
-
[Publications] 東 達也, 佐賀恒夫, 石守崇好, 他: "膵癌のFDG-PET診断"RADIOISOTOPES. 50 No.12. 643-646 (2001)
-
[Publications] 東 達也, 佐賀恒夫, 小西淳二: "胆道・膵に対する新しい画像診断法-良悪性の鑑別におけるFDG-PETの役割-"消化器外科. 24 No.9. 1531-1536 (2001)