2001 Fiscal Year Annual Research Report
大動脈ステントグラフト留置術後に生じる血液凝固能異常の核医学的検討
Project/Area Number |
13770510
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小川 洋二 長崎大学, 医学部・附属病院, 助手 (50233432)
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Keywords | 大動脈瘤 / 大動脈ステントグラフト / 血小板 / 血栓シンチグラム / 血小板寿命 / 血栓 |
Research Abstract |
1.対象 今年度の研究機関内に7例の動脈瘤症例にステントグラフト治療を行った。部位は胸部下行大動脈瘤2例、腹部大動脈瘤2例、腸骨動脈瘤3例であった。治療はいずれも成功した。これらの症例に対して、治療前後に血栓シンチグラム・血小板寿命測定をおこなった。 2.血栓シンチグラム 40mlの採血を行い、遠心分離にて血小板を分離した。In-111 oxineにてRI標識血小板を作成し、投与した。投与2日後に全身像の撮像を行い、血小板の集積を画像化した。全例で動脈瘤の治療部位に一致した集積像を認め、治療により生じた新たな血栓の描出に成功した。 3.血小板寿命測定 連日採血を行い、血中の放射能を測定することにより、血小板寿命を測定した。血小板消失曲線は全例で直線近似が可能であり、X軸との交点を血小板寿命とした(このことは、著明な血小板寿命延長がなかったことを意味している)。治療前の血小板寿命は、220±27時間、治療後は249±61時間であった。2例において治療後に血小板寿命の延長が見られた。 4.CTによる動脈瘤および壁在血栓の評価 全例で治療前後に造影CTを行い、動脈瘤の大きさ・壁在血栓と血流腔の評価を行った。最大径は35mmから65mmであった。6例では治療前から厚い壁在血栓を認め、治療後に生じる血栓が少ないことが推測された。1例では治療前に壁在血栓がほとんどなく、治療後にグラフトと動脈壁の間に血栓形成が認められた。 5.血液凝固能の変化 今回の対象群は瘤の大きさが比較的小さく、治療後に凝固能異常をきたした症例はなかった。今後症例を増やして、血小板寿命や凝固能の変化について検討を深める必要がある。
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