2001 Fiscal Year Annual Research Report
日本における臓器移植:特に腎移植および生体肝移植への精神医学的接近法の設定
Project/Area Number |
13770530
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
天保 英明 弘前大学, 医学部・附属病院, 助手 (00312497)
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Keywords | リエゾン精神医学 / コンサルテーション精神医学 / 生体部分肝移植 / 死体腎移植 / 生体腎移植 / 臓器移植精神医学 / CMIテスト / 易怒性 |
Research Abstract |
生体部分肝移植及び死体腎移植、生態腎移植の移植前及び移植後の面接、心理テストを通じて、日本における臓器移植の精神医学的接近法について研究を行なった。生体部分肝移植については、症例数が少なく、明確なデータはまだ出るに至っていない。 腎移植患者におけるエゴグラムテストとその経過との関連について移植前のエゴグラムテストの結果が移植後における医療スタッフの対応を示唆すると言う所見を2001年9月、第53回日本心身医学会東北地方会(青森市)にて発表した。 また、2001年11月に新潟で行なわれた第14回日本総合病院精神医学会において、生体腎移植を予定されながら実際には実施に至らなかった3例を通して、腎移植における精神的な問題を指摘した。精神科医の移植における介入の時期・程度がさまざまな力動が働く生体腎移植において大きく影響を与え、精神科医のリエゾン的介入が腎移植のかなり以前から持続的に必要であることを報告した。 臓器移植精神医学における大きな研究テーマが、移植後の精神障害の出現を移植前に何らかの方法で事前にチェックできないかと言うものであるが、この点で移植前後に行なわれたCMIテストの結果の分析が示唆を与えた。生体腎移植後前のCMIで神経症判別領域の重症度が重症であるほど移植術後の易怒性の出現頻度が増加すると言うデータを得た。移植術の前の不安が高いほど家庭内の葛藤を抱きやすく術後も残存しやすい。これらが周囲への敵意となり、易怒性として現れるものと思われる。このため移植スタッフは移植の前後を通してレシピエントの心理社会的背景を理解し、スタッフ自身の陰性感情の出現に留意してレシピエントと接することが必要であることを、2002年1月札幌における第6回日本心療内科学会学術大会にて発表した。 以上平成13年度の研究実績の概要を述べたが、特に移植における術前の不安と術後の易怒性の関係については、これまでの研究がほとんどないため、更に研究を積み重ねていく予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 天保英明: "高齢透析入院患者における精神障害-痴呆を中心に-"日本透析学会誌. 34(suppel). 636 (2001)
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[Publications] 天保英明, 三原一雄: "抗うつ薬と向精神薬を併用するときの注意点"臨床と薬物治療. 20(8). 824-828 (2001)
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[Publications] 川村直子, 天保英明 他: "エゴグラムおよびPOMSからみた透析導入患者の心理特性"心身医学. 41(suppel). 176 (2001)
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[Publications] 天保英明: "高齢者のうつ診療"治療. 83(19). 2819-2825 (2001)
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[Publications] 浜田美実, 天保英明 他: "心理社会的問題により生体腎移植に至らなかった3例"総合病精神医学. 13(suppel). S88 (2001)
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[Publications] 天保英明, 山本典子: "心療内科における代替医療の活用"治療. 84(1). 65-70 (2002)
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[Publications] 天保英明: "現代のエスプリ-セカンドオピニオン- (精神医療におけるセカンドオピニオン)"至文堂(吉田聡・三上八郎編集). 204(138-151) (2002)