2001 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いたエリスロポエチン受容体の機能解析と多血症病態モデルの作製
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13770570
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
向井 陽美 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (80323301)
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Keywords | エリスロポエチン受容体 / GATA-1 |
Research Abstract |
エリスロポエチン受容体(EPOR)細胞内ドメイン変異体トランスジェニックマウスの作製:赤血球組織特異的発現をドライブする転写因子GATA-1遺伝子発現調節領域下流に、EPOR細胞内ドメイン変異体(SHP1結合部位欠損、SHP2結合部位欠損)cDNAを結合させたトランスジーン(Tg)を作製した。これらのDNA断片をマウス受精卵にマイクロインジェクションすることでTgマウスを作製した。SHP1結合部位欠損マウスを3ライン、SHP2結合部位欠損マウスを2ライン作製した。 EPOR変異体によるEPORノックアウト(KO)マウスのレスキュー:上記TgマウスとEPORヘテロマウスの交配により、EPORヘテロ体かつTgを有するマウス(EPOR+/-:Tg(+))を得た。このマウスは生存可能で、血算上は野生型マウスと差がなかった。EPOR KOマウスは胎生致死であるが、EPOR+/-:Tg(+)マウス同志を交配することにより、内因性のEPORを保有せず、外来性のEPOR変異体遺伝子のみを有するレスキューマウス(EPOR-/-:Tg(+))を得ることを試みた。この手法で、全長型EPORcDNAのTgではEPOR KOマウスのレスキューが可能であったが、SHP1結合部位欠損、およびSHP2結合部位欠損Tgではレスキューできず、貧血により胎生致死となることがわかった。EPOR遺伝子のプロモーター領域にはGATA-1以外に、GATA-2、SP1、EKLFなどが結合することが知られており、GATA-1でEPORを発現させる場合にはEPORのC末端領域が必要であることが示唆された。 貧血、血小板増多を示すマウス:SHP1結合部位欠損マウスを3ラインのうち1ラインで、Hb 5-8g/dl程度および血小板数150-240万/μlの血球異常が認められるマウスが出現した。このような表現型はTgマウス同志の交配により、Tgを2つ持つマウスのみに認められ、他の2ラインには認められなかった。このラインよりTgの発現量が多いラインでもこのような表現型は認められないことから、Tgが挿入された部位特異的な変化であると考えられ、挿入部位および原因遺伝子の特定を行っている。
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