2001 Fiscal Year Annual Research Report
血液細胞の分化・アポトーシスにおけるスフィンゴ脂質の役割
Project/Area Number |
13770589
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
澤井 宏文 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (40298823)
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Keywords | セラミド / 中性スフィンゴミエリナーゼ / 分化誘導 / 抗癌剤 / PKC / アポトーシス |
Research Abstract |
1.血液細胞の分化誘導における中性スフィンゴミエリナーゼの役割の解明 ヒト白血病細胞HL-60のビタミンD_3による単球系細胞への分化における中性スフィンゴミエリナーゼ(として報告された)遺伝子の発現の変化をノーザンブロット法により検討したところ、mRNA量の変化は認められなかった。(発現量はノーザンブロット法の検出感度以下であった。) 2.セラミド耐性HL-60亜株の分化能の検討 HL-60のセラミド耐性亜株に各種分化誘導剤(レチノイン酸、ビタミンD_3、TPA)を作用させたところ、いずれの薬剤によっても分化が誘導されなかった。分化誘導におけるセラミドの関与が示唆される結果である。 3.セラミド耐性HL-60亜株の各種抗癌剤に対する感受性の検討 セラミド耐性HL-60亜株の各種抗癌剤(ダウノルビシン、エトポシド、Ara-C)に対する感受性を検討したところ、いずれの薬剤に対しても耐性を示した。各種抗癌剤の作用においてセラミドが細胞内シグナルメデイエターとして働くという仮説に一致するデータである。 4.セラミド耐性におけるPKCアイソザイムの役割の解明 セラミド耐性HL-60亜株におけるPKCアイソザイムの発現量をウェスタンブロット法により検討したところ、PKCα、βI、βII、εはHL-60親株よりも増加していたが、PKCδだけはHL-60親株よりも減少していた。PKCδがアポトーシスにおいて重要な役割を担うことが報告されており、セラミド耐性のメカニズムとしてPKCδの減少が関与している可能性がある。
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