2001 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体腎炎における細胞死誘導シグナルの解析と細胞死誘導療法による腎炎治療戦略
Project/Area Number |
13770600
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
杉山 斉 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60325090)
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Keywords | 糸球体腎炎 / ループス腎炎 / Fas ligand / アポトーシス / 細胞死 / death factor / death receptor |
Research Abstract |
細胞死誘導療法による糸球体腎炎治療戦略の開発を目指した当初1年間の基礎的検討として、1)糸球体腎炎組織に主として発現するdeath factor/death receptorと主発現細胞の同定、その発現の臨床的意義の検討、ならびに2)培養細胞を用いたdeath factor/death receptor発現機序の解析、を行った。方法論として免疫粗織化学、ELISA、細胞培養、Multiplex RT-PCRなどの手法を用いて研究を進めた。その結果、1)ヒト糸球体腎炎のうち特にループス腎炎組織においてFas ligand蛋白の発現亢進がみられることを明らかにした。Fas ligandは炎症性変化の著しい増殖性ループス腎炎において腎炎活動性上昇に伴い発現が亢進しており、主たる発現細胞は糸球体固有細胞ではメサンギウム細胞、炎症性浸潤細胞ではCD8陽性T細胞であった。ループス腎炎糸球体では炎症性病変とともに細胞死(アポトーシス)が存在するため、Fas ligand発現が炎症病変形成や炎症巣におけるアポトーシス誘導に関連する可能性が示唆された。2)この知見を元に培養細胞を用いた細胞生物学的研究を行った結果、ループス腎炎糸球体で発現しているサイトカイン(IL1、IFN、TNF)やLPSなどの炎症性刺激下においてメサンギウム細胞が膜型Fas ligandを発現することが明らかとなった。またマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)の共存により表症性刺激下でFas ligandが可溶性となり放出されることが判明した。ループス腎炎患者血中にはMMPが増加すること、またループス腎炎モデルマウス腎臓ではMMP遺伝子の発現亢進が報告されていることから膜型Fas ligandのみならず、MMPにより放出された可溶性Fas ligandも炎症形成やアポトーシス調節に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 月野木智子, 杉山 斉ほか: "ループス腎炎におけるFas Ligand発見とその意義"日本腎臓学会誌. 43. 203 (2001)
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[Publications] Tsukinoki T, Sugiyama H, et al.: "Upregulation of Fas ligand in glomerular cells in human lupus nephritis"Journal of the American Society of Nephrology. 12. 623A (2001)