2001 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎不全犬における非ACEアンジオテンシンII産生経路の機能的・分子生物学的研究
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13770605
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大久保 建 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30286455)
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Keywords | キマーゼ / アンジオテンシン変換酵素 / アンジオテンシンII / 慢性腎不全 |
Research Abstract |
近年、IgA腎症患者の腎間質の肥満細胞数と腎機能障害との有意な相関関係を認めた報告もあり、慢性腎不全犬モデルの腎組織におけるAng II産生経路について検討した。【方法】右腎動脈2/3結紮及び左腎摘出により、5/6腎摘慢性腎不全犬モデルを作成し、麻酔下で、AngI及びキマーゼの選択的基質である[Pro^<11>,D-Ala^<12>]-アンジオテンシンI-(合成ペプチド、以下S)を直接腎動脈内へ投与することにより、産生されたAng IIの腎血行動態に及ぼす影響を観察した。AngI及びS(10nmol/kg)の投与前、及び投与後の血圧、血清アンジオテンシン変換酵素(以下ACE)活性、組織Ang II・ACE活性を測定した。【結果】血清ACE活性は正常犬に比べ腎不全犬では有意に高かった(正常犬,4.9±0.3U/l:腎不全犬,7.1±0.8U/l,P<0.05,n=7)。腎皮質組織Ang IIは、正常犬に比し、腎不全犬で有意に高かった(正常犬,4.64±0.99pg/mg tissue:腎不全犬,23.1±7.06pg/mg tissue,P<0.05,n=6)。AngI 10nmol/kg投与後の腎不全犬での血圧増加率は正常犬に比し大きかった(正常犬,39.5±3.11%:腎不全犬,73.0±5.24%,P<0.001,n=6)がSでは有意な変化は認めなかった。また、AngIの腎動脈投与後の腎皮質Ang IIは、正常犬に比し腎不全犬で高かった(正常犬,32.2±9.7pg/mg tissue:腎不全犬,138±33pg/mg tissue,P<0.05,n=6)。【結論】慢性腎不全犬における腎組織Ang II産生経路においては、キマーゼを中心とした非ACE経路に比し、ACE経路の優位性が示唆された。
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