2001 Fiscal Year Annual Research Report
特異的NF-KB抑制法に基づく慢性進行性腎炎の進展機序の解明および治療法の検討
Project/Area Number |
13770606
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
力石 昭宏 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60286474)
|
Keywords | NF-KB / 安定型IKBα / アデノウィルスベクター / 尿細管間質障害 |
Research Abstract |
Wistarラットに片側腎臓摘出を行った後、アルブミン大量負荷(Bovine Serum Albumin(BSA)を2g/日ずつ腹腔内投与連日を3週間)を行い、持続的大量蛋白尿による尿細管間質障害モデルラットを作成した。当モデルに対してアデノウィルスベクターを腎動脈より注入することにより尿細管上皮細胞特異的に安定型IκBαを発現させ、腎間質障害における尿細管上皮細胞の核転写因子NF-κBの果たす役割について検討した。安定型IκBα導入群ではLacZ遺伝子導入群に比較して、Electromobility Shift Assayによる腎皮質のNF-κB発現量増加の著明な抑制効果を認め、これは病理組織学的解析(PAS染色、Masson-Trichrom染色)における尿細管間質障害スコアの有意な改善を伴っていた。さらに免疫組織染色による解析では浸潤マクロファージ(ED-1)数、TGF-β・Fibronectinの発現量が安定型IκBα導入群では有意に抑制されていた。さらに現在、DNAマイクロアレイ法を用いた両群の遺伝子発現プロファイルの変化の比較検討を行っており、尿細管上皮細胞におけるNF-κB下流遺伝子群のうち尿細管間質障害の進展に重要な役割を果たす因子の解析を進めている。 さらに片側腎臓摘出を行ったWistarラットにThy-1抗体を静脈内投与することによって慢性進行性糸球体腎炎を惹起し、腎炎4週間後より前述の方法で尿細管上皮細胞特異的に安定型IκBαを発現させ、腎炎8週間後においてその治療効果を検討した。現時点の病理組織学的解析では安定型IκBα導入群のLacZ遺伝子導入群に対する尿細管間質障害の改善効果は有意なものではなかった。今後検討すべき課題として、遺伝子治療の開始時期の変更や、CTLA4-Ig発現アデノウィルスベクターの同時導入による安定型IκBα発現期間の延長を図ること、なとが挙げられる。
|