2001 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン分泌促進薬の薬理特性、および結合部位に基づくクラス分類の試み
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13770644
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長嶋 一昭 京都大学, 医学研究科, 助手 (40324628)
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Keywords | K_<ATP>チャネル / インスリン分泌促進薬 / 膵β細胞 |
Research Abstract |
インスリン分泌促進薬としてはスルホニル尿素薬、およびナテグリニドが知られているが、スルホニル尿素薬の間でも薬効持続時間、インスリン分泌促進能、および膵外作用(インスリン感受性改善作用等)の有無といった点で明らかな差がみられ、その薬剤特性にかなった使い分けが治療上重要なポイントとなる。しかし、これらの特性および詳細な結合部位等はいまだ不明の点も多く、最近では各薬剤の膵β細胞KATPチャネルにおける結合様式の違いを指摘する報告もある。 現在までの研究実績の概要は、以下の通りである。 1)哺乳動物細胞株に膵型(Kir6.2/SUR1)、および心筋骨格筋型(Kir6.2/SUR2A)K_<ATP>チャネル遺伝子を共発現させた再構成系において、スルホニル尿素薬(新規SU薬グリメピリドを含む)およびナテグリニドの薬理特性を検討した。さらに、再構成系に加え、マウスおよびラット膵β細胞、膵β細胞株での検討をも行った。 2)膵型K_<ATP>チャネルにおけるスルホニル尿素薬、およびナテグリニド結合部位の同定するために、膵型K_<ATP>チャネルの様々な部位を、心筋骨格筋型に置換した各種キメラを作成し、SUR上のどの部位が、薬剤の結合に重要かを検討した。それにより、現在臨床に用いられている薬剤は、すくなくとも3種のタイプに分類できることを示した。 3)電気生理学的検討によりATP存在下と非存在下、つまり代謝状態が変化した条件下でのスルホニル尿素薬およびナテグリニドの膵型K_<ATP>チャネル抑制効果が異なることを確認した。 4)スルホニル尿素薬の二次無効の機序を解明する目的で、膵β細胞株に高濃度グリベンクラミド、叉はナテグリニドを長期負荷した条件下での、各種刺激物に対するインスリン分泌能、細胞内Ca^<2+>濃度変化、膜電位変化、K_<ATP>チャネル活性の変化等の解析を行い、その相違点を明確化した。
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