2001 Fiscal Year Annual Research Report
エンドセリン-1のインスリンシグナルおよび糖尿病性微小血管障害におよぼす影響
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13770656
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
石橋 健一 東京慈恵会医科大学, 医学部・糖尿病・代謝・内分泌内科, 助手 (80291681)
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Keywords | Endothelin-1 / GTP-Binding Proteins / Glucose Transporter / Insulin / 1-Phosphatidylinositol 3-Kinase / 1-Phosphatidylinositol 3-Kinase |
Research Abstract |
【目的】我々は最近,インスリンとエンドセリン-1(ET-1)がどちらもG蛋白であるGαq/11とPI3-Kを介してGLUT4のトランスロケーションを促進することを明らかにした(MCB 19:6765-74,1999,JBC 274:33691-5,1999)。両者は共通の経路を介してブドウ糖の取り込みを促進するので,実際にET-1がインスリンシグナルを抑制するかどうかを検討した。 【対象】3T3-L1 adipocytesを対象とした。 【方法】2-DOG uptake法,マイクロインジェクション法,免疫染色,PI3-Kアッセイ,ウエスタンブロット法などを利用した。 【結果】24時間のET-1前処置(10nM)によりインスリン(100ng/ml)による2-DOG uptakeは37%,GLUT4のトランスロケーションは59%抑制された。ETAレセプター拮抗薬であるBQ610はこの抑制を改善し,Gαi阻害剤であるPertussis toxinとGβγ阻害剤であるGST-BARKは変化を与えなかった。さらにET-1の前処置はGαq/11とIRS-1のインスリンによるチロシンリン酸化,および両者のPI3-Kのp110αサブユニットへの結合を抑制した。この結果PI3-K活性,およびその下流のAktのセリン・スレオニンのリン酸化が低下した。なお、ET-1はインスリンによるIRS-2のリン酸化を増強し,Gab1,Cb1のリン酸化に変化を与えなかった。加えてET-1はセリン・スレオニンのリン酸化に続いて24時間でIRS-1蛋白を低下させ,この作用はPI3-K阻害剤であるLY29004とp70 S6-K阻害剤であるラパマイシンにより改善された。さらにアデノウイルスにより持続活性型Gαq/11であるQ209L-Gαqを細胞に高発現させると,同様にIRS-1蛋白が低下し,インスリンによるIRS-1のチロシンリン酸化が抑制された。また,ET-1前処置によりインスリンによるSHCおよびその下流のMAPKのリン酸化も低下した。 【考察】ET-1はインスリンによるGαq/11のチロシンリン酸化を抑制するだけでなく,Gαq/11,p110α,およびその下流のp70S6-Kを介してIRS-1蛋白を低下させ,インスリンによるIRS-1のチロシンリン酸化も抑制した。これらの効果によりET-1はインスリンによるPI3-K活性を減弱し,GLUT4のトランスロケーションを抑制することが考えられた。 【結語】ET-1はインスリン受容体の基質であるGαq/11,IRS-1およびSHCのインスリンによるチロシンリン酸化を抑制してインスリン作用を減弱させた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Ishibashi K, Imamura T, Sharma PM, Huang J, Ugi S, Olefsky JM: "Chronic endothelin-1 treatment leads to heterologous desensitization of insulin signaling in 3T3-L1 adipocytes"Journal of Clinical Investigation. 107・9. 1193-1202 (2001)