2001 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症にみられる肝障害成立機序における白血球―肝微小血管内皮相互反応とその制御
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13770668
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
松本 豊 北里大学, 医学部, 助手 (90301473)
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Keywords | マウス敗血症モデル / 肝微小循環 / Toll Like Riuptor / P-セレクチン / 好中球エラスターゼ阻害剤 / 転回白血球 / 接着白血球 |
Research Abstract |
エンドトキシン(LPS)を生体内に投与することにより敗血症モデルを作成し、肝微小血管(終末門脈枝、類洞、中心静脈)内で惹起される白血球と血管内皮との相互作用について生体顕微鏡を用いて検討した。LPSに感受性であるC3H/HeNマウスとLP5に抵抗性であるC3H/HeJマウス(Toll-like receptor(TLR)-deficient)にそれぞれLPSを静脈内投与するとC3H/HeNマウスでは各微小血管内に接着する白血球数が経時的に増加したのに対して、C3H/HeJマウスでは有意な変化はなかった。白血球の転回についてみるとC3H/HeNマウスおよびC3H/HeJマウスの両者において細静脈(終末門脈枝、中心静脈)において転回白血球数が増加したが、類洞においては白血球の転回はみられなかった。この類洞において白血球の転回が観察されなかった結果は転回に関与するセレクチンが類洞では発現していない可能性が考えられ、免疫組織学的に検討したところ、類洞上にはP-セレクチンの染色性は陰性であった.また、転回白血球数はC3H/HeNマウスでは経時的に減少し(その代わり、接着白血球数が増加)したが、C3H/HeJマウスでは増加した転回白血球数には経時的な変化はなかった.すなわち、接着にはTLR-dependent pathwayの関与が、転回にはTLR-independent pathwayの関与が示唆された。そこで、白血球の転回に白血球側からの因子が関与している可能性を調べるために、白血球から放出される炎症性メデイエーターのひとつである好中球エラスターゼに着目し、好中球エラスターゼ阻害薬をLPSと同時投与したところ、転回白血球数は減少した。また好中球エラスターゼを投与すると、転回、接着現象が誘導されたが、転回白血球数のほうが接着白血球数よりも有意に増加していた。
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