2001 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌の神経浸潤に関与する細胞接着分子の細胞生物学的機能と予後因子への臨床応用
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13770701
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
佐藤 幹則 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (20305551)
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Keywords | 大腸癌 / GDNF / integrin / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
【背景・目的】以前より、腹腔神経叢から分泌されるグリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)の膵癌細胞への浸潤誘導作用を明らかにしてきた。そこで大腸癌細胞をGDNFで刺激した場合の細胞外組織への浸潤能および接着能の変化を計測し、又、その際\の細胞内シグナル伝達の過程を明らかにすることによって、GDNFが大腸癌細胞に与える影響を検討した。【方法、結果】ヒト大腸癌細胞として、HT-29、WiDr, Caco-2, COLO320を、また対照として同じ管腔臓器のヒト胃癌細胞MKN45とMKN74を使用した。まず大腸癌細胞における、GDNFのレセプターであるRetおよびGFR α-1のmRNAレベルでの発現をRT-PCR法にて確認した。癌細胞表面のintegrin subunitsの蛋白レベルでの発現をFACScanで確認した。またGDNF 10ng/mlの刺激で、特にintegrinβ1の発現の増強がERISA法によって確認された。In vitro invasion assay法にてGDNFの刺激によって大腸癌細胞の細胞外マトリゲルを介した浸潤能が増大することが確認された。大腸癌細胞をGDNFで刺激した場合の各種細胞外マトリックス【collagen type I、collagen type IV、fibronectin、laminin】に対する接着能を検索し、接着能の増強が確認された。又、その接着能の増強は抗Ret抗体で減弱され、さらに抗integrin β1抗体で著しく阻害された。又、Retとintegrin β1の細胞内シグナル伝達の過程にPI3-Kが一部関わっている事が、PI3-Kのinhibitorを使用した接着実験で確認された。【結語】神経栄養因子の刺激によって、大腸癌細胞の接着因子が活性化され、癌の浸潤転移に関与している可能性が示唆された。
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