2002 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生を標的とした消化器癌腹膜播種性転移に対する遺伝子治療
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13770703
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
藤原 斉 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (20332950)
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Keywords | 腹膜播種性転移 / 遺伝子治療 / 血管新生抑制 / 乳斑 / GFP / アデノウイルスベクター / HGF / NK4 |
Research Abstract |
1 ヒト胃癌細胞株MKN45を用いたヌードマウス腹膜転移モデルに対して、NK4発現アデノウイルスベクターを腹腔内投与したところ、予め、同ベククーを投与した後、癌細胞を接種する予防投与にて、強力な腹膜転移の抑制と生存延長効果が得られた。腹腔および全身におけるNK4蛋白の発現をELISAにて定量したところ、癌細胞の初期転移形成部位である腹膜乳斑における選択的かつ高濃度のNK4発現が得られた。GFP発現アデノウイルスベクターおよび微粒子活性炭の投与実験により、乳斑の主たる構成細胞であるマクロファージが、アデノウイルス感染に伴うNK4発現細胞であることを明らかにした。また、NK4による転移抑制機序を明らかにするため、予めアデノウイルスベクター投与により乳斑でNK4を発現させた後、GFP発現MKN45細胞を腹腔接種し、大網乳斑における癌細胞の集積着床をFACSにて定量し、コントロールと比較した。その結果、NK4群において集積着床の有意の抑制が認められ、乳斑NK4発現による浸潤および血管新生の抑制により強力な転移形成の抑制が得られた可能性を明らかにした。アデノウイルスベクターを用いた腹膜転移予防のための腹腔内標的遺伝子療法の可能性が示唆された。 2 NK4発現マウス大腸癌細胞株CT26-NK4を作成し、同系マウス皮下移植モデルを用いてNK4の抗腫瘍機序について詳細に検討した。NK4を発現しないコントロール細胞(CT26)に比較して強力な造腫瘍性の抑制が得られ、組織学的検討により、CT26-NK4群において、新生血管数の減少とアポトーシス細胞の増加が認められ、血管新生の抑制が抗腫瘍作用に深く関与することを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 藤原 斉: "腹膜リンパ組織の特性に基づく癌微小転移に対する標的遺伝子治療"癌と化学療法. 29・12. 2322-2324 (2002)
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[Publications] 窪田 健: "マウス大腸癌細胞株(CT26)を用いたNK4遺伝子治療の検討"癌と化学療法. 29・12. 2258-2260 (2002)
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[Publications] H.Fujiwara: "Suppression of peritoneal micrometastases by adenovirus-mediated antiangiogenic gene transfer in mice"XXXIII World congress of the international college of surgeons. 29-31 (2002)
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[Publications] T.Kubota: "Antitumor activities of genetically modified colon cancer cells expressing HGF/NK4"XXXIII World congress of the international college of surgeons. 47-50 (2002)
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[Publications] 山岸 久一: "Sentinel Node Navigation癌治療への新しい展開(分担) がん集学的治療とSNNS"金原出版. 5 (2002)