2001 Fiscal Year Annual Research Report
survivinを標的とした腫瘍特異的な遺伝子治療の基礎的研究
Project/Area Number |
13770722
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
山本 哲久 大阪医科大学, 医学部, 助手 (50330072)
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Keywords | survivin / adenovirus / colon cancer / anticancer drug |
Research Abstract |
【目的】survivinは腫瘍特異的に発現し、G2/M期を調節してカスパーゼ3と7をブロックすることによりアポトーシスを阻害する。われわれは、胃・大腸・乳癌におけるsurvivin発現(各々、34%,53%,71%)とアポトーシスとの関係、および大腸発癌過程におけるsurvivinの関与について明らかにしてきた。今回、survivinを標的としたウイルスベクターを作成し、survivinが遺伝子治療の標的となり得るかどうかについて評価を行った。【方法】1)survivinのアンチセンスとして機能するeffector cell protease receptor-1(EPR-1)を配置したアデノウイルスベクター(AdCMV-EPR1)を構築し、大腸癌細胞株HT29に感染させ、survivin蛋白レベルを解析。同時にbcl-2の変化も検討。正常組織として大腸正常粘膜より採取したfibroblastを対照実験とした。2)in vitroでの細胞増殖試験はMTT assayにて検討。同時に制癌剤感受性・放射線照射効果も検討。3)アポトーシス誘導と細胞周期への影響はフローサイトおよびカスパーゼ3活性の測定にて行った。4)マウス皮下腫瘍モデルを作成し、AdCMV-EPR1の腫瘍内直接投与による抗腫瘍効果、制癌剤併用効果を検討した。【結果】1)survivin発現はfibroblastに認めず、Mockおよびコントロールベクター(AdCMV-LacZ)では変化なかった。AdCMV-EPR1ではmoiの増強と共にsurvivin発現はdown-regulateされた。bcl-2発現の変化は認められなかった。2)HT29における細胞増殖はMockおよびAdCMV-LacZにおいて変化はなかった。しかし、AdCMV-EPR1では1moiで81%、10molで52%に増殖抑制効果がみられ、これは制癌剤(CDDP)および照射(2Gy)の併用によりさらに増強した。fibroblastではAdCMV-EPR1感染による増殖抑制効果は認められなかった。3)AdCMV-EPR1感染により、細胞周期ではアポトーシスを反映するsub-Glpeakの上昇とG2/M期のブロックを認めた。また、カスパーゼ3は5倍以上に上昇した。4)皮下腫瘍モデルにおいては、投与28日目でAdCMV-LacZ群(1458±783mg)に対してAdCMV-EPR1の単独投与群(449±344mg)で腫瘍縮小効果を認めた。これはCDDPの併用によりさらに顕著(101±62mg)で半数(6/12)に腫瘍消失を認めた。【総括】AdCMV-EPR1によるsurvivinを標的にした腫瘍特異的な遺伝子治療の有用性が示唆された。
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