2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13770728
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小田 克彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60323002)
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Keywords | ステントグラフト / PLLAステント / 金属ステント / 大動脈 / 半減期 / 分子量 |
Research Abstract |
生体内吸収性高分子であるポリーL-乳酸(PLLA)の繊維による編成構造をもったステントを作成した。圧縮試験ではPLLAステントは金属ステントと同等の応力を有し、自己拡張力もほぼ同等の結果を得ることができた。ステントを人工血管で覆いステントグラフトとし、これを犬の大動脈へ開胸下に挿入した動物実験で生体に対する反応を検討したところ、金属ステント群、PLLAステント群それぞれにたいし、3ヵ月、6ヵ月で、大動脈中膜の厚さ及び平滑筋細胞密度に差を認めた。H.E染色、E.M染色で両群とも3ヵ月でステントグラフト内腔は新生内膜で完全に覆われており、ステントの移動、脱落は認めなかったが、中膜は、金属ステント群で非薄化し、繊維化が強く、平滑筋細胞が減少していた。この結果より、PLLAステントの方が血管に対する侵襲が少ないと考えられる。また、3ヵ月、6ヵ月でそれぞれPLLAステントの分子量を測定したところ、低下率は25%、65%であり、PLLステントの強度と分子量の関係がparallelであることからそれぞれの強度は75%、35%という結果を得た。当初の予定通り、半減期は3ヵ月から6ヵ月の間であることがわかり、PLLAステントの強度が低下してしてくる時期にはステントグラフトは新生内膜で覆われ完全に血管に固定されている状態であった。今年度の結果は以上であるが、今後の課題として、1)デリバーシステムの開発、2)急性期の生体への反応の評価があげられる。まず1)に関しては、既存のデリバリシステムではうまくPLLAステントを留置できないことがわかり、今後デリバリーシースとバルーンを組み合わせたシステムを製作し、挿入を試みる予定である。2)に関しては、新たに今までと同様の方法で急性期のモデルを作り、リンパ球、マクロファージなどの炎症性細胞の浸潤程度を免疫染色を用い評価する。すべての実験結果より臨床応用の可能性について検討する予定である。
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