2002 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄移植とFlat3 ligandを併用したドナー特異的免疫寛容の導入
Project/Area Number |
13770748
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
石橋 信之 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50328465)
|
Keywords | 臓器移植 / 免疫寛容 / Flat3 ligand |
Research Abstract |
臓器移植後の長期生存の主な障害因子は、免疫抑制剤の副作用に起因する合併症と慢性拒絶による移植臓器機能不全である。ドナー以外の同種抗原と感染症に対する一般免疫能を確保したままドナー抗原に対する免疫反応のみを抑制するドナー特異的免疫寛容の導入は、免疫抑制剤の副作用を軽滅させることが可能となると同時に、慢性拒絶の予防効果から長期生存率の向上が期待されている。本研究では、ドナー骨髄細胞移植によるドナー特異的免疫寛容の成立を目的として、新しい骨髄細胞刺激因子としてFlat3 ligandのマイクロキメリズムに対する効果を検討した。 マウス心移植モデルを用いて心移植と骨髄細胞移植をおこなった群にFlat3 ligandを投与すると有意にドナー由来の骨髄細胞が増加することをフローサイトメトリーを用いてすでに示した。また、従来より行われてきた移植モデルに比べ、移植早期より気管、肺移植における慢性拒絶反応である閉鎖性細気管支炎が生じる異所性気管移植モデルを使用したFlat3 ligandによる長期にわたるマイクロキメリズムの維持、ドナー特異的免疫寛容の誘導に関する検討においては、異所性気管移植と骨髄細胞移植をおこなった群にFlat3 ligandを投与すると移植後6週の時点で、Flat3 ligand投与群は非投与群に比して有意に慢性拒絶反応を抑制され、PCR法によりFlat3 ligand投与群では末梢血において、ドナー由来DNAが検出された。これをうけ、我々は投与方法の検討を行い、Flat3 ligandを移植2週閥後に再投与した群において、Flow cytometryを用いた検討をおこない、ドナー由来リンパ系細胞が検出された。本実験結果より、Flat3 ligandは高度のマイクロキメリズムをレシピエントに作成することができることが可能であり、かつ複数回投与をおこなうことにより高度のマイクロキメリズムが長期にわたって維持される可能性が示唆された。今後の課題として、長期生着の得られた症例においてのドナー特異的免疫寛容成立に関する検討が必要と思われる。
|