2001 Fiscal Year Annual Research Report
CGH法による肺癌細胞の放射線照射に対する感受性判定
Project/Area Number |
13770750
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
新井 悟 日本医科大学, 医学部, 助手 (10246944)
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Keywords | 肺癌 / 扁平上皮癌 / 薬剤耐性 / 放射線感受性 / 肺腺癌 / CGH |
Research Abstract |
これまでに、共同研究者らは癌細胞株や卵巣癌のシスプラチン耐性株、さらに白血病の抗生物質耐性株を用いてcomparative genomic hybridization(CGH)法で耐性能の獲得にどのような遺伝子群が関与しているか、肺腺癌の血管系における病態像など総合的に検討してきた。申請者はその主要な一部を担当し肺の扁平上皮癌における課題の解析を推進してきた。扁平上皮癌と腺癌とはその薬剤や放射線感受性が異なる。その理由は、それぞれの癌細胞の発生母細胞が異なり、前者は気道上皮とくに基底細胞の可能性が指摘され、後者は非基底細胞というべき気道の腺細胞、クララ細胞、立方上皮細胞、肺胞上皮細胞などが想定されている。臨床的な現実問題としては、正常よりも発育の速い癌細胞であるゆえ放射線照射はどちらにもある程度は有効であると見なせる。しかし、経験上前者に放射線療法が多用されるが、後者には技術的問題も含め充分な有効性を得られないと認識されている。この腫瘍の薬剤や放射線治療に対する感受性をcomparative genomic hybridization法で検索してきた結果、われわれの研究グループは次のような新知見を見出すことが出来た。シスプラチン抵抗性を獲得した株A2780CPは、その親株A2780と比較して1P361-363, 19p131-133, 19p12-131に欠損を示し、さらに、一方で3q-21に明らかな増幅を示した。これらの領域におけるDNAコピー数の変化がシスプラチン抵抗性の獲得に深く関与することを明確にした。このデータを対照としつつ、当研究の材料である肺組織由来の扁平上皮癌について検索すると、肺扁平上皮癌組織には、不規則な壊死病巣が頻発すること、しかもその発生部位が高分化角化病巣に限らず低分化病巣でも発生している現象を明らかにしつつある。これは腺癌と異なり、扁平上皮癌自身とその腫瘍血管である肺胞毛細血管の内皮細胞に特異的変化をもたらすに違いないとの仮説が生まれた。この点に留意し、アポトーシス関連遺伝子の消長との関係で感受性反応を検討しつつある。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 川並汪一, 持丸 博, 新井 悟: "シリカの経気道投与による肺胞とその毛細血管のリモデリング"エアロゾル研究. 16・4. 285-288 (2001)
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[Publications] Jin E, Fujiwara M, Nagashima M, Shimizu H, Arai S, et al: "Aerogenous spread of primary lung adenocarcinoma induces ultrastructural remodeling of the alveolar capillary endothelium"Human Pathology. 32・10. 1050-1058 (2001)
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[Publications] Jin E, Ghazizadeh M, Fujuwara M, Nagashima M, Arai S, et al: "Angiogenesis and phenotypic alteration of alveolar capillary endothelium in areas of neoplastic cell spread in primary lung adenocarcinoma"Pathology International. 51・9. 691-700 (2001)
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[Publications] Ghazizadeh M, Kawanami O, Araki T: "Assesment of gene expression profile by cDNA microarray analysis"J. Nippon Medical School.. 68・6. 460-461 (2001)
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[Publications] Obara K, Ghazizadeh M, Shimizu H, Arai R, Tenjin T et al: "Comprative genomic hybridization study of genetic changes associated with vindesine resistance in esophageal carcinoma"International J. Oncology. 20・. 255-260 (2002)