2001 Fiscal Year Annual Research Report
RCT肉腫の胎生期血管内皮蛋白発現調節および遺伝子治療の基礎的研究
Project/Area Number |
13770786
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
大森 一生 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (80303238)
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Keywords | 胎生期血管内皮蛋白 / RCT肉腫 / 肺転移 / 腫瘍血管新生 |
Research Abstract |
近年、αVβ3インテグリンの新しいリガンドとして、胎生期の血管内皮細胞に特異的に発現する胎生期血管内皮細胞蛋白developmentally regulated endothelial locus 1(Del1)が、生理的な血管系の初期形成に重要な役割を担うことが報告された。本研究ではDel1の腫瘍血管新生への関与をも明らかにするために、腫瘍細胞産生の血管内皮増殖因子(VEGF)がDel1発現に及ぼす影響およびマウス移植腫瘍組織におけるDel1の発現を検討した。マウス未分化肉腫高肺転移株RCT(+)および低肺転移株RCT(-)培養細胞のDel1の発現をNorthern blottingにて検討したが、いずれの腫瘍細胞もDel1を発現していなかった。またマウスDunn骨肉腫細胞およびマウス肺由来血管内皮細胞(MLE)においてもDel1の発現は認められなかった。しかし各腫瘍細胞の培養上清刺激により、MLEにおけるDel1の発現が誘導された。次にVEGFのDel1発現への影響を検討するために、リコンビナントVEGFを加えると、MLEにおけるDel1の発現が認められ、その発現は抗VEGF抗体により抑制された。またMLEにおけるDel1の発現誘導は、interleukin-1αおよびtumor necrosis factor-αによっても認められた。in vivoでは、RCT(+)およびRCT(-)細胞をC3H/Heマウスの大腿部皮下に移植し、3週後の局所腫瘍および肺転移巣におけるDel1の発現をRT-PCRにて検討したところ、どちらにおいてもDel1の発現を認めた。以上のことから、VEGFを含む腫瘍細胞由来因子により血管内皮細胞におけるDel1の発現誘導が生じることを明らかにした。
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