2002 Fiscal Year Annual Research Report
足底挿板が下肢の動的アライメントに与える影響についての運動学及び筋電図学的研究
Project/Area Number |
13770792
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大畑 光司 京都大学, 医療技術短期大学部, 助手 (30300320)
|
Keywords | 足底挿板 / 外側ウェッジ / 筋電図 / 運動解析 / 足底圧分析 / 動的アライメント / 足部回内運動 / 運動学的機序 |
Research Abstract |
変形性膝関節症に対する初期から進行期の治療法として、足底挿板療法が知られている。特に外側ウェッジは、変形性膝関節症に伴う歩行時の疼痛や内側thrustを減少させる効果が期待されている。しかし足底挿板が歩行中の足底圧や下肢軸の変化、および足部の筋にどのような影響を与えるかは統一した見解が得られておらず、運動学的機序が明確にはなっていない。本研究の目的は足底挿板が歩行にあたえる筋電図学的、運動学的影響について明らかにすることである。健常成人10名を対象とし、被験者にトレッドミル上を時速3kmで歩行させ、足底挿板の有無により立脚期の接床圧と足圧中心軌跡、歩行中の骨盤中心の移動量、歩行筋電図に生じる変化を測定した。足底挿板にはソルボセイン製の中足部までの外側ウェッジを用い、傾斜角度を4度、8度の二通りとした。被験筋は、右下肢の中殿筋、大内転筋、半膜様筋、大腿二頭筋、前脛骨筋、内側腓腹筋、外側腓腹筋、長腓骨筋の8筋とした。立脚期の接床圧はピークの時点で外側ウェッジを用いた歩行のほうが高くなった。足圧中心軌跡は立脚期の40%までの外側変位を認めた。しかし歩行時の側方への骨盤中心の移動量には変化がなかった。筋電図解析では特に長腓骨筋で立脚期の30%から80%まで外側ウェッジによる増加を認めた。本研究の結果、外側ウェッジは足圧中心の軌跡を外側に変位させるが、骨盤の移動には影響を与えないことが示された。これは機能的下肢軸が垂直化するという従来の外側ウェッジの運動学的機序では十分ではないことを示唆している。一方、筋電図の結果から、ウェッジの挿入により足部では回内運動が強く生じていると考えられる。立脚期の足底圧の外側変位と足部の回内運動が外側ウェッジの運動学的影響として最も大きいものであり、これが変形性膝関節症に対する効果に大きく影響を与えるものと推察された。
|