2001 Fiscal Year Annual Research Report
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13770803
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田仲 和宏 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (10274458)
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Keywords | 変形性関節症 / 軟骨再生 / 遺伝子治療 / コラーゲン / 転写制御因子 |
Research Abstract |
変形性関節症(OA)は、関節軟骨が変性摩耗し関節痛や関節可動域制限を生じる疾患である。関節軟骨は、軟骨細胞の産生するII型コラーゲン(Co12)を主体とする軟骨基質によって力学的負荷に耐えうるような構造を保っている。OA軟骨細胞ではCo12発現が著明に低下し、関節軟骨は機械的負荷に耐えらず更に変性摩耗していく。従って、OA軟骨におけるCo12産生を誘導し、軟骨基質の再構築をはかることができれば、OA進行を阻止する有効な治療法となる可能性がある。Co12発現には転写因子SOX9が重要な役割を果たしていることが報告されている。我々は、Co12の軟骨特異的発現に必須である遺伝子エンハンサーに特異的に結合する転写因子CRYBP1をクローニングし、軟骨以外の組織においてCRYBP1がCo12発現を抑制していることを見いだした。しかし、これらの転写因子が、関節軟骨やOA発症過程においてどのような役割を果たしているのかは、全くわかっていない。本研究では、OA進行を阻止する遺伝子治療の開発を最終目標とし、SOX9及びCRYBP1という正と負の転写制御因子のOA軟骨における意義を明らかにし、関節軟骨細胞でのCo12発現が制御可能かを検討する。 本年度は、SOX9及びCRYBP1に対するポリクローナル抗体を作製し、変形性膝関節症患者より採取したOA軟骨を用い免疫組織染色、Western blotにより蛋白レベルでの発現を検討した。また、CRYBP1の軟骨分化における役割を明らかにするため、アデノウイルスベクターを作成し、軟骨細胞への導入を行った。OA軟骨においては、SOX9及びCRYBP1の発現は逆相関にあり、変性に陥った部分ではCRYBP1が、軟骨が保たれCo12発現がみられる部分ではSOX9が発現していた。軟骨細胞にCRYBP1を強制発現させると、Co12発現が消失し、さらに細胞がアポトーシスに陥ることが判明した。今後は、in vivoでの実験を含め、さらにこれらの転写因子の軟骨分化における意義を明らかにしていく予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yoshihiro Matsumoto, et al.: "Downregulation and forced expression of EWS-Flil fusion gene results in changes in the expression of G1 regulatory genes"Brit. J. Cancer. 84. 768-775 (2001)
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[Publications] Yoshihiro Matsumoto, et al.: "Small GTP-binding protein, Rho, both in creased and decreased cellular motility, activation of matrix metalloproteinase 2 and invasion of human osteosarcoma cells"Jpn. J. Cancer Res.. 92. 429-438 (2001)
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[Publications] Akio Sakamoto, et al.: "H-ras oncogene mutation in dedifferentiated liposarcoma : Polymerase chain reaction-restriction fragment length polymorphism analysis."Am. J. Clin. Pathol.. 115. 235-242 (2001)
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[Publications] Akio Sakamoto, et al.: "H-ras oncogene mutation in dedifferentiated chondrosarcoma : Polymcrase chain reaction-restriction fragment length polymorphism analysis of paraffin-embedded tissues"Mod. Pathol. 14. 343-349 (2001)
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[Publications] Tsuyoshi Saito, et al.: "E-Cadherin gene mutations frequently occur in synovial sarcoma as a determinant of histological features"Am. J. Pathol.. 159. 2117-2124 (2001)
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[Publications] 田仲和宏: "軟骨コラーゲン遺伝子の発現制御機構"Connective Tissue. (印刷中). (2002)