2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト脊椎椎間板変性に関わるマクロアレイ法による遺伝子群の網羅的探索
Project/Area Number |
13770814
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
藤田 拓也 金沢医科大学, 医学部, 講師 (40293360)
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Keywords | ADAMTS-4 / ヒト椎間板ヘルニア |
Research Abstract |
【目的】近年,変形性関節症におけるアグリカンの特異的分解酵素としてADAMTS-4が注目を浴びているが,椎間板での発現に関する報告は少ない。今回我々はヒト腰椎椎間板ヘルニア組織におけるADAMTS-4の発現を,免疫組織学的およびwestern blot法により検討した。 【方法】手術にて摘出した腰椎椎間板ヘルニア組織22検体(30-40歳台)と剖検時に得られた腰椎椎間板組織5検体を用いた。椎間板ヘルニア組織は手術時の肉眼的脱出形態から,protrusion(5例,P群),subligamentous extrusion(7例,SE群),transligamentous extrusion(5例,TE群),sequestration(5例,S群)の4型に分類した。これら検体に対しHE染色およびalcian blue染色を行い,また抗ヒトADAMTS-4抗体,抗CD68抗体,抗CD34抗体,抗S100抗体を用いて免疫組織学的検討を加えた。さらにwestern blot法にてADAMTS-4の発現を半定量的に解析した。 【結果】HE染色にて,TE群,S群の全例でヘルニア組織辺縁部に肉芽組織形成を認めたが,P群では全例認めず,SE群では7例中2例に認めるのみであった。alcian blue染色ではTE群とS群における肉芽組織近傍で染色性の低下が顕著であった。免疫組織学的に,ADAMTS-4は主にSE群,T群,S群で認めた肉芽組織内の細胞に強く発現し,これらの細胞は抗CD68抗体陽性を呈した。ヘルニア組織内の髄核細胞の一部にもADAMTS-4の発現を認めたが,各群間に明らかな差異は認めなかった。さらにwestern blot法でTE群,S群におけるADAMTS-4の発現亢進が確認された。 【考察および結論】今回の検討より,椎間板ヘルニア組織ではADAMTS-4の発現が亢進しており,産生細胞は主にヘルニア辺縁部に存在する肉芽組織内のマクロファージであることが示された。alcian blue染色でヘルニア組織におけるプロテオグリカン成分の減少パターンとADAMTS-4発現細胞の分布は概ね一致しており,腰椎椎間板ヘルニア組織の退縮におけるADAMTS-4の関与が示唆された。
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