2001 Fiscal Year Annual Research Report
吸入麻酔薬の抗侵害作用におけるノシセプチン受容体の役割に関する研究
Project/Area Number |
13770829
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮崎 嘉也 京都大学, 医学研究科, 助手 (10324625)
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Keywords | ノシセプチン / 最小肺胞濃度 / 吸入麻酔薬 / 亜酸化窒素 / 急性耐性 / 大脳皮質シナプトソーム / グルタミン酸 |
Research Abstract |
申請者は吸入麻酔薬の最小肺胞濃度(minimum alveolar concentration : MAC)に対するノシセプチン系の関与を検討する目的で、ノシセプチン受容体ノックアウトマウスで各種吸入麻酔薬のMACを検討した。雄性マウスを円筒状のチャンバー内に置き、一方から吸入麻酔薬を投与した。平衡に達したところで、ワニグチクリップを用いてマウスの尾をクランプした。体動の有無を観察し、動かなければ吸入濃度を10〜20%下げ、動けば10〜20%上げ、同様に実験を行った。以上のような方法で濃度幅を狭めていき、動く濃度と動かない濃度の中間をその個体のMACとした。その結果、ノシセプチン受容体ノックアウトマウスの各種吸入麻酔薬(ハロセン、イソフルレン、セボフルレン)のMACは、野生型と欠損型の間で差は認められなかった。現在、吸入麻酔薬の中で最も鎮痛作用が強く、その作用は内因性オピオイドに関係していると言われている亜酸化窒素のMACを、野生型と欠損型で測定しているところである。また、ノシセプチンはモルヒネの耐性の形成に関与する実験結果が報告されていることから、亜酸化窒素の急性耐性においてもノシセプチンが関与している可能性がある。現在、亜酸化窒素の鎮痛作用における急性耐性を検討するために、tail-flick testを用いて野生型と欠損型で比較検討中である。 一方、野生型と欠損型マウスの大脳皮質膜画分において、それぞれノシセプチンで受容体結合実験を行い、野生型でノシセプチン受容体は発現しているが、欠損型マウスにはノシセプチン受容体が発現していないことを確認した。また、申請者らは、すでにラット大脳皮質シナプトソームからのグルタミン酸放出をノシセプチンが抑制するという結果を得ているが、現在マウスでも同様の方法で比較検討中である。
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