2001 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症におけるエンドトキシン受容体(TLR4)とその関連分子RP105の役割
Project/Area Number |
13770863
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
廣橋 伸之 久留米大学, 医学部, 助手 (30218862)
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Keywords | エンドトキシン / 敗血症 |
Research Abstract |
高度救命救急センターに搬入された敗血症患者63名より末梢血を採取し、単核球、好中球を分離し、免疫細胞に対する抗体(CD3、CD19、CD14、およびCD11b)と抗TLR4抗体、抗FP105抗体による二重染色を行い、フローサイトメトリーでこれらの分子の発現を検討した。コントロールとして健常人血を用いた。その結果CD3陽性細胞(Tリンパ球)は、健常人、敗血症患者にてTLR4およびRP105を発現していなかった。CD19陽性(Bリンパ球)は健常人において弱く発現しており、RP105は100%発現していた。敗血症患者のうち炎症反応が強い(CRP高値、あるいはSIRSのスコア高値)ものはRP105陰性細胞の比率が上昇した。しかし他のパラメーター(エンドトキシン濃度、β-D-グルカン、IL-6/IL-10、Shilling Index、免疫グロブリン濃度、白血球数)とは相関はなかった。単球(CD14陽性)は健常人、敗血症患者においてTLR4およびRP105を90%以上発現しており、炎症反応の強弱による発現の変化は著明ではなかった。好中球(CD11b陽性)は健常人、敗血症患者においてTLR4およびRP105を弱く発現していたが、炎症反応の強弱による発現の変化は認められなかった。他施設のin vitroの報告では単球/マクロファージのTLR4発現は、LPSや炎症性サイトカイン刺激にて減少するとされている。今回の敗血症患者の検討では炎症反応の強弱による発現の変化は著明ではなかった。一方、炎症反応が強いものはRP105陰性Bリンパ球の増加は認めたが、このメカニズムは未だ不明であり,今後末梢血を各細胞分画に分離しin vitroでの検討を進めていく。また臨床経過(SOFAスコア、ショックの有無、死亡率など)との関係も明らかにしていく。
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