2002 Fiscal Year Annual Research Report
男性不妊症患者におけるエストロゲン受容体遺伝子の変異解析
Project/Area Number |
13770867
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鈴木 泰宏 山形大学, 医学部, 助手 (50261699)
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Keywords | 無精子症 / エストロゲン受容体α / 遺伝子多型性 |
Research Abstract |
特発性無精子症患者31例(22-44歳,平均35.6歳)について,末梢血リンパ球からDNAを抽出し,エストロゲン受容体α遺伝子(Chromosome 6 q25.1)のエクソン4の塩基配列をDirect sequencingで解析し,コドン325の多型性と本疾患との関連を検討した.また,この多型性と臨床データ(精巣容積,LH, FSH, Testosterone, Estradiol)との関連についても検討を加えた. 患者群のエストロゲン受容体α遺伝子エクソン4コドン325の多型性は,ccc-ccc(c/c)が3例(10%),CCC-CCG(C/G)が17例(55%),CCG-CCG(G/G)が11例(35%)であったのに対し,コントロール群ではC/Cが34%,C/Gが44%,G/Gが22%であり,その頻度に有意差がみられた. 血中FSH値(mean±SD)は,C/C群が3.1±0.6mIU/mL,C/G群が21.5±12.3,G/G群が11.5±8.2であり,C/C群とC/G群がG/G群と比較し有意に高かった.その他の臨床データについては各遺伝子型群の間に有意差はみられなかった. エストロゲン受容体αノックアウトマウスでは精子形成能が障害されることが報告されている.ヒトにおいてはエストロゲン受容体α遺伝子エクソン4コドン325の多型性と乳癌の関連については報告されているが,無精子症との関連はこれまで報告されていなかった.本研究により,この遺伝子の多型性が無精子症に関与している可能性が示唆された.しかしそのメカニズムは不明であり,今後の研究課題である.
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[Publications] Yasuhiro Suzuki, Isoji Sasagawa, Keiichi Ito, Junko Ashida, Koji Muroya, Tsutomu Ogata: "Estrogen receptor alpha gene polymorphism is associated with idiopathic azoospermia"FERTILITY AND STERILITY. Vol.78, No.6. 1341-1343 (2002)