2001 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌に対する不飽和脂肪酸の効果に関する基礎的・臨床的研究
Project/Area Number |
13770896
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
河 源 関西医科大学, 医学部, 助手 (10268344)
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Keywords | 前立腺癌 / PC-3 / 不飽和脂肪酸 / エイコサペンタエン酸 / ドコサヘキサエン酸 |
Research Abstract |
前立腺癌の罹患率は欧米で高く,日本を含むアジアでは低い.しかし日本人が米国に移民すると前立腺癌の罹患率が高くなる.またラテント癌の頻度は欧米とアジアで差がない.したがって前立腺癌がラテント癌から臨床癌になるには環境因子が重要と考えられる.環境因子としては食事が指摘され,疫学調査より脂肪摂取が前立腺癌のリスクファクターの1つとして挙げられている. 多価不飽和脂肪酸にはリノール酸,アラキドン酸を代表とするn-6系と,αリノレン酸,エイコサペンタエン酸,ドコサヘキサエン酸を代表とするn-3系があり,ヒト体内では互いに移行することはない.n-6系多価不飽和脂肪酸は欧米の食事中に多く,実験的にリノール酸,アラキドン酸が前立腺癌細胞株の増殖を促進する事が報告されている.一方n-3系多価不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸,ドコサヘキサエン酸は魚に多く,前立腺癌が少ないアジアでは魚の摂取量が多い.そこでエイコサペンタエン酸,ドコサヘキサエン酸の前立腺癌に対する効果を検討した. 方法はホルモン非依存性ヒト前立腺癌細胞株であるPC-3に種々の濃度のエイコサペンタエン酸,ドコサヘキサエン酸を添加して培養し,細胞数を経時的に測定した.細胞数はCell Counting Kit-8(同人化学)で測定した.その結果10^<-9>〜10^<-4>Mのエイコサペンタエン酸,ドコサヘキサエン酸添加群の細胞数は経時的に増加し非添加群と差がなかったが,10^<-3>Mのエイコサペンタエン酸添加群の細胞数は添加後1日目に添加時の22%,3日目に8%に減少し,10^<-3>Mのドコサヘキサエン酸添加群の細胞数も1日目に44%,3日目に36%に減少した.この結果からエイコサペンタエン酸,ドコサヘキサエン酸の前立腺癌増殖抑制効果が示唆され,現在ホルモン依存性のヒト前立腺癌細胞株であるLNCaPでも検討中である.
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