2002 Fiscal Year Annual Research Report
マウス培養胚盤胞による着床機構の解明と環境ホルモンの影響に関する研究
Project/Area Number |
13770907
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
末永 昭彦 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (10302712)
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Keywords | 着床 / 培養胚盤胞 / trophoblast / 硫酸化脂質 |
Research Abstract |
着床機構の解明を目的として、着床浸潤モデルとしてマウス培養胚盤胞における細胞生物学的に解析する系を用いて硫酸化脂質、ビスフェノールAに着目しtrophoblast前細胞動態について着床初期にもたらす影響を検討している。これらについては、(1)硫酸化脂質は至的濃度において抑制的に働くこと、(2)ビスフェノールA(BPA)は、estrogen receptorを介した作用によりspreadingを制御している可能性があることを報告してきた。検討は、以下の項目について計画した。 1)3次元内膜モデルにおける硫酸化脂質濃度の影響 2)子宮内膜と胚盤胞の共培養下での硫酸化脂質の影響 プロテアーゼ活性に対する硫酸化脂質の作用 3)Trophoblast spreading assayにおけるビスフェノールAの影響 1)、2)については、従来のtrophoblast spreadingの培養皿に変え、スライド上に培養可能ゲルを作成し、ゲル内へのtrophoblast spreadingの状態をスライド上3次元で観察した。また、ゲル内の硫酸化脂質の濃度を変化させ、濃度によりその進展を解析した。2次元trophoblast spreading assayと同様に濃度依存性の抑制があることが示唆された。また、trophoblastから産生されるプロテアーゼ群の活性に対する硫酸化脂質の作用は抑制的に働くことが示唆された。以上より、硫酸化脂質は、trophoblastの浸潤を抑制的に制御することによって胚の着床に関与していると考えられた。 3)ビスフェノールAは、高濃度においては抑制的に働く。しかもその抑制効果はestrogen antagonistより解除されることから、BAの作用する機序としてestrogen receptor介することがこの系においても示唆された。2001年THE 17^<TH> WORLD CONGRESS ON FERTILITY AND STERILITYに報告した。また、各細胞コンパートメント(特に内部細胞塊)においては、濃度により増殖促進、抑制の効果は認められなかった。したがって、高濃度でない条件ではtrophoblast spreadingと各細胞コンパートメントにおいてはなんらかの関係を認められなかった。
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