2002 Fiscal Year Annual Research Report
子宮癌、卵巣癌の発生・浸潤・転移過程におけるアポトーシスと癌関連遺伝子の発現動態
Project/Area Number |
13770932
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
粉川 克司 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (80254548)
|
Keywords | アポトーシス / 子宮頸癌 / 化学療法 / Bcl-2 / Bax |
Research Abstract |
DNA3'末端標識後オートラジオグラフィーおよびIn situ DNA3'末端標識法による検討により進行子宮頸癌におけるDNA断片化細胞数は、カルボプラチン、硫酸ペプロマイシン、イホスファミドの3剤併用Balloon occluded arterial infusion (BOAI)による化学療法後1日目より増加し、5日目には治療前の約4倍にまで増加した。オートラジオグラフィーによる検討でもBOAI後3日と5日で明らかにDNAラダーの形成を認めた。しかし7日目にはDNA断片化細胞数は減少し、DNAラダーも消失した。アポトーシス調節機構を調べるために行った免疫組織化学的検討にて、Bcl-2蛋白はBOAIによる治療後わずかに増加したが、有意な変化は示さなかった。一方Bax蛋白の発現は、BOAI後3日目にピークに達し約5倍にまで増加したが、その後はやや減弱した。以上の結果より子宮頸癌組織ではBOAI後3日、5日をピークにアポトーシスが一時的に増加することが判明し、しかもそのアポトーシスの誘導にはBax蛋白の増加が関与している可能性が示唆された。なお、以上の研究実績の一部は、第55回日本産科婦人科学会学術講演会で発表予定であり、医学雑誌(Gynecologic Oncology)に論文として投稿中である。また、放射線治療やある種の抗がん剤による抗腫瘍効果発現の際腫瘍内で増加する可能性が示唆されているチミジンホスホリパーゼの経時的変化についても子宮筋腫症例の組織をコントロールとし、放射線治療中の子宮頸癌組織、化学療法後の子宮頸癌組織をそれぞれ採取し、現在組織内のチミジンホスホリパーゼの変化について比較検討中である。
|