2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト子宮内膜におけるIL-15の調節機構とその生理・病理学的意義に関する研究
Project/Area Number |
13770946
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
岡田 英孝 関西医科大学, 医学部, 助手 (80330182)
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Keywords | ヒト子宮内膜 / IL-15 / プロゲステロン / エストロゲン / 脱落膜 / 着床 / 妊娠 |
Research Abstract |
ヒト子宮内膜におけるIL-15の動態変化を検討するために、ヒト子宮内膜組織、脱落膜組織、妊娠初期絨毛組織に対して抗ヒトIL-15モノクローナル抗体を用い免疫組織染色により発現強度を評価した。絨毛組織ではほとんどIL-15の発現は認められず、増殖期内膜では弱い発現を認めるのみであった。分泌期内膜や脱落膜では増殖期内膜に比べ腺上皮細胞と間質細胞に強くIL-15の発現を認めた。さらにヒト子宮内膜で発現しているIL-15が、どのように制御されているかを細胞・分子生物学的に検討するためにin vitroでの実験を行った。ヒト子宮内膜組織は、機械的および酵素的に融解して、比重遠心法、付着細胞培養法で内膜間質細胞を分離培養した。そこにエストロゲン(E)やプロゲステロン(P)を単独あるいは同時に添加して培養後の細胞からmRNAを抽出しNorthern blotting法を用いIL-15の発現の比較検討した。P添加後の早期(3日後)では、IL-15 mRNAの発現に変化は認められなかった。そしてP添加培養による細胞分化(脱落膜化)が確認できる9日後では、IL-15 mRNAの発現は著増した。一方、コントロール群(無添加群)、E単独添加群では、IL-15 mRNAの発現に変化を認めなかった。このPの作用は、P受容体拮抗薬(RU486)の同時添加により阻害された。さらに培養上清よりELISA法を用いIL-15の分泌動態を検索した。P単独添加群で明らかな分泌増加を認められ、PとEの同時投与群ではIL-15分泌の著しい相乗効果が認められた。つまり、IL-15はヒト子宮内膜でPにより誘導される局所因子の一つであり、その遺伝子転写以後の分泌過程にはEの役割も大きいことが判明した。
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[Publications] Hidetaka Okada: "The inhibitory effect of dienogest, a synthetic steroid, on the growth of human endometrial stromal cells in vitro"Molecular Human Reproduction. 7. 341-347 (2001)
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[Publications] Hidetaka Okada: "Effect of ovarian steroids on the secretion of interleukin-1 5 from human endometrial stromal cells"American Journal of Reproductive Immunology. 46. 45-46 (2001)
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[Publications] 岡田英孝: "子宮内膜機能の局所調節"妊娠の生物学. 1. 141-149 (2001)
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[Publications] 岡田英孝: "子宮内膜の構成細胞の細胞生物学"新女性医学体系. 1. 122-139 (2001)