2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13770980
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
高野澤 美奈子 自治医科大学, 医学部, 助手 (50316543)
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Keywords | 耳石 / 球形嚢 / 行動異常 / 有毛細胞 / 前庭神経核 |
Research Abstract |
球形嚢耳石欠損マウスにおいて、形態学的・生理学的機能を解析した。 1.形態学的解析(走査電子顕微鏡とパラフィン連続切片による) (1)末梢前庭器 ホモ接合体で、球形嚢の耳石が生直後から欠損し、耳石膜が露出していた。生後1ヶ月齢で感覚毛の変性と球形嚢有毛細胞の欠失が認められた。生後3ヶ月齢においてはほぼ全ての感覚毛は変性、消失し、有毛細胞も極わずかに残存するのみとなった。先天的な耳石の欠損による、球形嚢感覚上皮への刺激の欠如が、これら形態学的異常をひきおこしていると推測された。対して、卵形嚢においては耳石の欠損も、感覚毛、有毛細胞の変性も認められなかった。 (2)中枢前庭ニューロン 前庭神経核を含む脳幹の連続切片を銀染色変法(Bodian法)にて染色し、神経核(ニューロン)をグリア細胞と区別し同定した。ホモ接合体では、内側前庭神経核領域において神経核細胞の数が減少していた。ミクログリア細胞が神経細胞を貧食している像も散見され、神経核細胞が変性・死滅したものを貧食していると思われた。神経核細胞数の減少は、野生型のマウスと比較検討し、統計学的有意差があることを確認した。末梢前庭器でみられた球形嚢の変性が内側前庭神経核の神経細胞に及んでいると考えられ、球形嚢の上位ニューロンは数ある前庭神経核領域の中でも、内側前庭神経核に特異的であることが推測された。 2.生理学的機能解析 ホモ接合体は耳石欠損により前庭機能障害をきたし、行動異常を呈していた。ホモ接合体と野生型マウスとの行動範囲について検討を行った。30cm四方の箱の中で単位時間内に動く各マウスの位置をデジタルカメラで一定時間毎に連続撮影し、全画像をコンピュータ上で重ね合わせて移動距離、移動面積を比較した。ホモ接合体は移動距離、面積共に著明に減少していた。
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