2001 Fiscal Year Annual Research Report
喉頭前癌病変の臨床腫瘍学的解析-テロメラーゼ及びシクロオキシゲナーゼを指標とした喉頭前癌病変の評価-
Project/Area Number |
13770983
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
齋藤 康一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40296679)
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Keywords | 喉頭白色病変 / 喉頭前癌病変 / 喉頭dysplasia / テロメラーゼ / シクロオキシゲナーゼ / Cox-2 / 癌化 |
Research Abstract |
我々耳鼻咽喉科医がしばしば遭遇する喉頭の白色病変は、外観上はどれも白色の隆起性病変を呈しているが、病理組織学的には様々なステージのdysplasiaやCIS(carcinoma in situ)が混在しており、またdysplasiaの中にも長期経過中に癌化するもの、しないものがあり、臨床の現場での扱いは困難である。特にdysplasiaと診断された場合、後に癌化するか否かを確実に予測する明確な指標は何もない。テロメア短縮を防ぎ、細胞の不死化に寄与するテロメラーゼの鋳型RNA(hTERC遺伝子)は多くの正常細胞でも発現しており,逆転写酵素部分(hTERT遺伝子)を導入することでテロメラーゼ活性が現れる。我々は、癌、dysplasia、良性病変など15例の声帯病変に関してテロメラーゼ活性及びhTERT-mRNAの定量を行った。その結果、テロメラーゼ活性はcut off値を30(units/μg protein)として、癌組織において、前癌病変と良性病変に比べて高値であった。またhTERT mRNA定量値はcut off値を3.0(long copies/μg total RNA)として同様の結果であり、更にsevere dysplasiaの二例、CISの症例においても3.0以上の高値を示していた。以上よりテロメラーゼ活性及びhTERT mRNA定量値は、喉頭の白色病変の悪性度の指標となりうる可能性が示された。更に我々は、通常の組織からは検出されず、種々のサイトカイン、ホルモン、腫瘍誘発剤、炎症メディエーター、マイトージェンなどの刺激に対して反応し、マクロファージ等の細胞で一過性に高いレベル発現し、腫瘍の増大、悪性化との関係が注目されているCox-2に注目し、今後これまで当科にて喉頭の異形成上皮が年月を経て癌化した36例について発現の程度を検討していく予定である。
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