2001 Fiscal Year Annual Research Report
角膜移植後の拒絶反応を回避するキメラ角膜組織の作成および免疫特権の機序の解明
Project/Area Number |
13771014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
堀 純子 日本医科大学, 医学部, 助手 (60251279)
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Keywords | 角膜移植 / 拒絶反応 / 免疫特権 / 組織再構築 / 遅延型過敏反応 / 羊膜上皮 / キメラ / 抗原感作 |
Research Abstract |
角膜移植後の免疫反応を回避する目的で、マウスの同所性角膜アログラフトモデルにおいて、角膜上皮を除去したアロ角膜の実質表面にレシピエントと同系の新鮮角膜上皮を被覆してキメラ状に再構築した角膜組織(キメラ角膜と称する)を作成し、移植後のアロ抗原感作を起こさずに拒絶反応を回避することを既に報告した。13年度には、キメラ角膜移植後のレシピエント抗原提示細胞の遊走を共焦点顕微鏡を用いて免疫組織化学的に検討した。その結果、移植後早期のグラフト接合部における抗原提示細胞密度は、対照の全層角膜アログラフトに比較して、キメラ角膜で有意に減少していた。このようにレシピエント抗原提示細胞の遊走抑制が、キメラ角膜移植後の抗原感作の回避の機序の一つと考えられた。一方、キメラ角膜を臨床応用する場合、同系(臨床上は患者自身)の角膜上皮をキメラ組織作成のために確保することは困難であるため、それを代用する組織として羊膜上皮を候補とし、アログラフトとしての羊膜上皮の免疫原性を検討した。妊娠後期のマウスから採取した羊膜上皮アログラフトを腎被膜下に移植し、臨床所見、組織所見、主要組織適合複合体の発現、アロ抗原特異的遅延型過敏反応、およびActive suppressionの誘導について検討した。その結果、羊膜上皮アログラフトは、骨髄由来細胞を含有せず、移植後にも主要組織適合複合体class I分子の発現は弱く、class II分子は未発現であり、アロ抗原感作を起こさず、拒絶反応を回避した。さらに、羊膜上皮アログラフトと角膜アログラフトを腎被膜下へ共移植すると、角膜由来の遅延型過敏反応の誘導は抑制されて、角膜は拒絶反応を回避した。このように羊膜上皮がアログラフトとして免疫特権組織であることが明らかとなり、前述のキメラ角膜作成の際に、同系角膜上皮の代用として、アロ角膜実質表面を被覆する材料となりうることが示唆された。
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