2001 Fiscal Year Annual Research Report
温度感受性リポソームを用いた薬物送達システムによる脈絡膜新生血管への遺伝子治療
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13771022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西脇 弘一 京都大学, 医学研究科, 助手 (90303841)
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Keywords | 温度感受性リポソーム / 脈絡膜新生血管 / VEGF / 遺伝子治療 / リン膜質 / ドラッグデリバリー / アンチセンス / 蛍光物質 |
Research Abstract |
本年度は遺伝子を効率よく内包できるリポソームの膜構成成分を評価した。リポソーム膜構成成分としてDPPC、DPPGの2種類のリン脂質とコレステロールを使用した。DPPC : DPPG : Choresterolのモル比が4:1:0、3:1:1、2:1: 2の3種類のリポソーム(内包液はPBS)を作成し、VEGFアンチセンス遺伝子の取り込みを試みた。まず、3種類のリポソームに蛍光物質Carboxyfluoreseeinを内包したものを作成し、37℃(体温)と40℃(加温時の温度)で5分インキュベート後の蛍光値を測定し、各リポソームの温度感受性を調べた。この結果、4:1:0のリボソームは40℃付近で内包物の大部分を、3:1:1のリポソームは40℃付近で内包物の約70%を放出するが、2:1:2のリポソームは40℃付近では約40%程度しか内包蛍光物質を放出せず、しかも放出率は温度を上昇させてもほぼ変化なかった。これは、コレステロールがリポソーム膜の安定化に寄与し、温度感受性を低下させているためと考えられた。従って、温度感受性の点からは4:1:0、3:1:1のどちらかのリポソームが適することが示唆された。次にFITCで標識したVEGFアンチセンス遺伝子を凍結融解法、逆相蒸発法、カルシウム融合法、界面活性剤除去法を用いてリポソームに取り込ませ、37℃(体温)と40℃(加温時の温度)で5分インキュベート後の蛍光値を測定し、封入率を計算した。この結果、4つの封入法間で、封入率に有意差は認められなかった。 しかしながら、遺伝子の封入においては、封入率のみならず、封入後の遺伝子の失活が問題となる。有機溶媒や界面活性剤などを利用した封入法については高い封入率にも関わらず活性が低下している可能性がある。従って来年度は、リポソームに封入されたアンチセンスの活性を測定し、最も高い活性を保持できるリポソームの合成法について検討するとともに、培養血管内皮細胞とともにインキュベートを行い、血管内皮増殖抑制効果の有無について評価する予定である。
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