2001 Fiscal Year Annual Research Report
同種皮膚移植における免疫寛容の分子生物学的機構解析
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13771064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
秋田 定伯 長崎大学, 医学部・附属病院, 助手 (90315250)
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Keywords | 白血病抑制因子(LIF) / 免疫寛容(immune tolerance) / 胎児性線維芽細胞(BALB-3T3) / STAT3 / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
免疫的寛容(immune tolerance)を引き起こし,同種皮膚移植に際し、効果的な皮膚組織移植の延長と創面の被覆を目指し,サイトカインの中で、Th2サイトカイン誘導しうる因子として白血病抑制因子(Leukemia Inhibitory Factor, LIF)に注目し,サイトカインシグナル伝達についても検討した。LIFのcDNAをマウス胎児性線維芽細胞(BALB-3T3)にリポフェクチン法により遺伝子導入し、更に血管新生因子として,血管内皮成長因子(Vascular Endothelial Growth Factor, VEGF)各容量決定後添加し,in vitroでの細胞内情報伝達発現を観察した。LIF cDNA導入細胞は,VEGFの添加により細胞数の増加を認めず、一方ヴェクターのみの遺伝子導入群では、10nMと100nMで1nMに比較し添加後3日、5日で細胞数の有意に上昇させた。一方,LIF導入細胞はVEGF添加後、STAT3のリン酸化発現を1分から60分まで持続して認め、ヴェクターのみの遺伝子導入細胞はSTAT3のリン酸化発現を認めなかった。MAPキナーゼのリン酸化発現も,10nMのVEGF添加で15分から60分の間、VEGF100nMで60分から120分間LIF遺伝子導入細胞のみ,MAPキナーゼのリン酸化発現を認めた。同種異系のマウスでのin vivo解析ではLIF cDNA遺伝子導入線維芽細胞とVEGF 50μg添加により術後7日と14日でコラーゲンI発現とCD34発現(血管化の指標)の有意な発現を認めた。LIFの遺伝子導入とVEGFの添加により細胞内情報伝達のSTAT3系とMAP系キナーゼのリン酸化発現を認め、in vivoモデルとして真皮代用として、LIF cDNA遺伝子導入細胞とVEGF添加はウシ腱由来コラーゲン線維(ペルナック)を担体としてコラーゲン増生と血管化を促進し有用な皮膚代用となりうる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Akita S, Ishihara H, Daian T, Dazai S, Fujii T., et al.: "Cytokine-dependent gp130 receptor subunit regulates rat modified axial-pattern epigastric flap"J Invest Surg. (in press).
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[Publications] 堤 英博, 平野明喜, 秋田定伯, 藤井徹, 他: "Pyknodysostosisに対する上顎延長の経験"日本頭蓋学顔面外科学会誌. 17巻3号. 64-70 (2001)