2002 Fiscal Year Annual Research Report
S.sobrinus gtf遺伝子発現株によるバイオフィルム形成機序の解析
Project/Area Number |
13771082
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
桑原 紀子 (篠崎 紀子) 日本大学, 松戸歯学部, 副手 (90287665)
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Keywords | バイオフィルム / Streptococcus sobrinus / グルコシルトランスフェラーゼ / 形質転換株 |
Research Abstract |
ヒト齲蝕は齲蝕原性菌であるStreptococcus mutansおよびStreptococcus sobrinusの2菌種が産生するグルコシルトランスフェラーゼ(GTF)の作用により歯面上に齲蝕誘発性バイオフィルムを形成することに始まる。現在S.sobrinusは4種類のGTFを産生することが知られている。本研究はS.sobrinusにおけるバイオフィルム形成のメカニズムを、B13N株を由来とした4種類のgtf遺伝子を非齲蝕原性菌Streptococcus anginosusへ導入した形質転換株を作製し、これらを用いて解明することを最終目的としている。本申請ではまず4種類のgtf遺伝子を取得することを目指し、平成13年度はgtfT遺伝子産物を単独発現する形質転換株を作製することに成功し報告した。 平成14年度は形質転換株の染色体DNA上におけるgtfT遺伝子構造の確認およびガラス管壁への人工プラーク形成試験を行った。遺伝子構造はPCR法を用いて確認した。まず形質転換株より染色体DNAを精製した。プライマーはgtfT遺伝子上流に位置するp15A領域およびOMZ176株のgtfT遺伝子の塩基配列を参考に設計した。PCRで増幅されたDNA断片をアガロースゲル電気泳動に供したところ、予想された約6.2kbのDNA断片が検出された。さらにこの断片を数種の制限酵素で切断し再度電気泳動を行った結果、形質転換株上のgtfT遺伝子の構造は親株のそれと同じであることが確認された。次に、この形質転換株をガラス管壁に対する人工プラーク形成能試験に供した。0.5%のショ糖を含むTHB培地に接種し、37℃にて30゜の傾斜培養を行った。10秒間のボルテックス処理後ガラス管壁に固着した菌体を超音波処理し、濁度測定(550nm)した結果、本形質転換株単独ではガラス壁面に固着する能力はないことが確認された。 現在、gtfS遺伝子を単独発現する形質転換株の作製を試みている。
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