2002 Fiscal Year Annual Research Report
エストロジェン受容体の発現とその共役因子の活性の制御による新規骨疾患治療法の確立
Project/Area Number |
13771092
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
石橋 宰 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70293214)
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Keywords | 骨芽細胞 / BMP / エストロジェン受容体 / Cキナーゼ / ルシフェラーゼアッセイ / Smad |
Research Abstract |
昨年度、マウス骨芽細胞株MC3T3-E1においてエストロジェン受容体ERα、ERβの遺伝子発現を制御する物質の検索のための評価系を確立した。今回、それを用いて数十種類の物質について調べた結果、BMP-2やビタミンD3を含むいくつかの物質がERαのプロモーター活性を有為に上昇させることが明らかになった。そこで、特に顕著な上昇を示したBMP-2についてさらなる解析を行ったところ、BMP-2は実際にMC3T3-E1においてERαのmRNAレベルを減少させるが、その作用は一過性であることが明らかとなった。興味あることに、このような一過性の減少は、ERβのmRNAレベルについても同様に認められた。また、ルシフェラーゼアッセイにより、BMP-2で前処理したMC3T3-E1を用いてエストロジェンによるEREを介した転写活性を調べた結果、BMP-2で処理していない細胞の場合と比較して明らかな転写誘導の抑制が認められた。したがって、BMP-2は実際に蛋白質レベルにおいても両受容体のレベルを減少させていることが示唆された。BMP-2同様、Cキナーゼ活性化剤であるフォルボールエステルも同様に両受容体のmRNAを減少し、両者の場合とも作用は新規蛋白質合成を介するものであった。さらに、Cキナーゼ阻害剤の存在下では上記のBMP-2の作用は消失したことから、BMP-2は一般的に考えられているSmadを活性化させる系とは異なり、直接Cキナーゼを活性化させさらに何らかの蛋白質の合成促進を介してエストロジェン受容体レベルを減少させることが明らかとなった。以前にエストロジェンが骨芽細胞においてアポトーシス抑制に関わることが報告されていることから、BMP-2とエストロジェン依存性アポトーシス抑制の関係の検討とともに、今回の結果がin vivoにおいても当てはまるか否かの検討が課題として残った。
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