2001 Fiscal Year Annual Research Report
ラット耳下腺腺房細胞における末梢型ベンゾジアゼピン受容体の機能に関する解析-ミトコンドリアからのカルシウムイオン遊離におよぼす影響-
Project/Area Number |
13771102
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
大久保 みぎわ 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (40301519)
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Keywords | ベンゾジアゼピン類 / カルシウムイオン / クロライドイオン / ミトコンドリア / Ca^<2+>依存性K^+チャネル / Na^+ / K^+ / 2Cl-共役輸送体 / 唾液腺 / 耳下腺 |
Research Abstract |
これまでに本研究室において、耳下腺腺房細胞に中枢型と末梢型両ベンゾジアゼピン受容体が存在し水分泌を抑制すること、この抑制が細胞内のCl-貯留に起因することを明確にした。細胞内へのCl-貯留は基底膜側からのCl-流入促進と管腔側からのCl-流出抑制により引き起こされ、Cl-流入の一経路としてNa^+/K^+/2Cl-共役輸送系の関与が証明された。Na^+/K^+/2Cl-共役輸送系の活性化はCa^<2+>依存性K^+チャネルを介しているが、必要な細胞内Ca^<2+>濃度の上昇が何に由来するか明らかにされていない。本研究ではこの経路を明らかにするために、基底膜からのCa^<2+>流入、および、ミトコンドリアからのCa^<2+>遊離の関与について検索を行った。コラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼで処理しHBSS-Hに浮遊させた耳下腺腺房を用い細胞内への^<45>Ca^<2+>の取り込み実験、およびFura2を用いた細胞内Ca^<2+>濃度変化の蛍光画像解析を行った。^<45>Ca^<2+>の取り込み実験において、中枢型と末梢型両ベンゾジアゼピン受容体アゴニストのジアゼパムおよび、末梢型ベンゾジアゼピン受容体アゴニストのRo5-4864は適用直後1分以内では細胞内へのCa^<2+>流入を増加させたが、それ以降の取り込みには影響を及ぼさなかった。また、カルバコール刺激時のCa^<2+>流入をジアゼパムは抑制した。一方、蛍光画像解析において、ジアゼパムにより細胞内Ca^<2+>濃度の大きな変化は認められなかった。これらの結果から、ベンゾジアゼピン類は微量ではあるが細胞内へのCa^<2+>流入を促進することが示された。また、この流入は細胞全体のCa^<2+>濃度の上昇はせず、基底膜付近で起こる局所的なCa^<2+>濃度の上昇に関与していることが示唆された。残りの研究期間でミトコンドリアからのCa^<2+>遊離について検討する必要がある。
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